ジェントリーな五郎がキャラ変?
挑戦的なタイトルとは裏腹に、爽快なソウルナンバー!
70年代の男性歌手にとって、シングル曲の歌詞の女性の呼称は大きなターニングポイント。
新御三家の三人も、歌の主人公の成長と共に、女性の呼称を使い分けている。
野口五郎、西城秀樹、郷ひろみ共、10代半ばのデビュー曲での女性の呼称は「君」。
やや青年期に入ると「あなた」にシフト。女性の呼称に初めて「あなた」を使った曲は、
野口:「心の叫び」74年(18歳)
西城:「恋の暴走」75年(20歳)
郷:「あなたがいたから僕がいた」76年(20歳)
さらに大人になり、女性に対して余裕が出てくると、「お前」呼ばわりも交じり始める。
野口:「グッドラック」78年(22歳)
西城:「リトルガール」81年(26歳)
郷:「悲しきメモリー」77年(21歳)
野口は、70年代のシングルの半分以上の女性の呼称が「あなた」。
新御三家では、女性に対してジェントリーなイメージが最も強かった。
そんな野口がキャラ変したのが、79年の31枚目のシングル「女になって出直せよ」。
それまでのイメージを覆し、女性に対してやや挑戦的なタイトルで打って出たのだ。
歌番組で、前作「真夏の夜の夢」前作に続き、エレキギターを演奏しながら歌唱。
衣装はロックスターさながらのシースルーシャツにジャケット。いつになくセクシーな野口のスタイルに、当時の女性ファンはざわついた。
が、歌詞は全く攻撃的ではなく、別れた女性に対して「お互いいい男と女になって再会しよう」とエールする明るいナンバー。
「昔見た歳月は もうここで終わった」「楽しい想い出は お子様ランチで」と、かつての自分たちの未熟さを自戒する平メロの音階を低く抑え、サビの「Bye-bye baby bye-bye」でハイトーンボイスが一気に爆発する高揚感豊かな構成は、野口の声を知り尽くした筒美京平ならではのグッジョブ。
爽快なフィリーソウル風のブラスやストリングスに溶け込む野口のギターも心地よく、シティポップとしてもっと再評価されてよい楽曲だ。
「女になって出直せよ」
作詞:阿久悠
作曲:筒美京平
編曲:船山基紀
ミュージックロボットAOIの新作MVがリリースされました。
70年代歌謡ポップスの香りがする楽曲と、トランペットに掛ける高校生の物語。
ぜひ、ご覧ください!