女になって出直せよ/野口五郎(1979年)【真夏のポップサイド・五郎!3選 ③】 | ミュージックロボットAOIの原色★歌謡曲図鑑

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ジェントリーな五郎がキャラ変?

挑戦的なタイトルとは裏腹に、爽快なソウルナンバー!

70年代の男性歌手にとって、シングル曲の歌詞の女性の呼称は大きなターニングポイント。

新御三家の三人も、歌の主人公の成長と共に、女性の呼称を使い分けている。

 

野口五郎、西城秀樹、郷ひろみ共、10代半ばのデビュー曲での女性の呼称は「君」。

 

やや青年期に入ると「あなた」にシフト。女性の呼称に初めて「あなた」を使った曲は、

野口:「心の叫び」74年(18歳)

西城:「恋の暴走」75年(20歳)

郷:「あなたがいたから僕がいた」76年(20歳)

 

さらに大人になり、女性に対して余裕が出てくると、「お前」呼ばわりも交じり始める。

野口:「グッドラック」78年(22歳)

西城:「リトルガール」81年(26歳)

郷:「悲しきメモリー」77年(21歳)

 

野口は、70年代のシングルの半分以上の女性の呼称が「あなた」。

新御三家では、女性に対してジェントリーなイメージが最も強かった。

 

そんな野口がキャラ変したのが、79年の31枚目のシングル「女になって出直せよ」。

それまでのイメージを覆し、女性に対してやや挑戦的なタイトルで打って出たのだ。

 

歌番組で、前作「真夏の夜の夢」前作に続き、エレキギターを演奏しながら歌唱。

衣装はロックスターさながらのシースルーシャツにジャケット。いつになくセクシーな野口のスタイルに、当時の女性ファンはざわついた。

 

が、歌詞は全く攻撃的ではなく、別れた女性に対して「お互いい男と女になって再会しよう」とエールする明るいナンバー。

 

「昔見た歳月は もうここで終わった」「楽しい想い出は お子様ランチで」と、かつての自分たちの未熟さを自戒する平メロの音階を低く抑え、サビの「Bye-bye baby bye-bye」でハイトーンボイスが一気に爆発する高揚感豊かな構成は、野口の声を知り尽くした筒美京平ならではのグッジョブ。

 

爽快なフィリーソウル風のブラスやストリングスに溶け込む野口のギターも心地よく、シティポップとしてもっと再評価されてよい楽曲だ。

 

「女になって出直せよ」

 作詞:阿久悠

 作曲:筒美京平

 編曲:船山基紀

 

ミュージックロボットAOIの新作MVがリリースされました。

70年代歌謡ポップスの香りがする楽曲と、トランペットに掛ける高校生の物語。

ぜひ、ご覧ください!