こんにちは。楽譜浄書家・森本良子です♪

 

お仕事では実にさまざまな楽譜を作らせていただくのですが、その内容によって、特に念入りにチェックしている箇所があります。

 

その一つが、指づかいです。

 

お仕事では雑誌、曲集、教材づくり、資料づくりなどいろいろありますが、指づかいについて一番気にかけているのは教材づくりの時。

 

教材は、教室の生徒さんや習い始めのシニアの方、大人になって再開した方など、いろんな環境の方が使用されます。

 

そして習い始めよりも、少し曲を弾けるようになったステップで、指づかいはちょっとした問題になります。

 

指づかいの弾きやすさで、弾けるものも弾けなくなるし、弾けないと思ったものも弾けたりすることがあります。

 

指づかいによる弾きやすさ、難しさが、その後の上達や意欲を左右することがあるのです。

 

 

浄書でお仕事をさせていただくと、これは原稿で書き間違ったのかなと、間違いに気がつくことがあります。(そういうところは直してしまい、印をつけて校正時に確認します)

 

それ以外で「??」と思うところでは、ちょっと保留して他の曲もチェックしたりします。

 

何を見ているかというと、曲を書いた人、または原稿を作った人、あるいは楽譜を校訂した人が、どんな風に指づかいを書き入れているかを、チェックするのです。

 

楽譜上の指づかいには、二通りの指示の仕方があるのをご存知ですか?

 

おおまかにいうと、その一音のために指づかいを決めているのか、またはその先の流れや指運びまで見て決めているのか、ということです。

 

一つは、この「音」をこの指で弾く、という指示。これは音色を考慮した指示であることが多いです。

 

もう一つは、「今ここでこの指を使う」という意味の指示。ひとつふたつ先の指運びを考慮してつけられています。

 

教材の場合、一つ目のケースにあたる指示はなかなか見かけませんが、問題は二つ目のケースは浄書においても原稿をよく見て、考えるべきところなのです。

 

弾きやすいか、弾きにくいかの判断は、弾く人や生徒さん個々人のそれまでの経験や、体の使い方、体の動かし方の癖などによって違います。

 

当然、同じ指づかいでも、ある人にとっては弾きやすいと感じるものが、別の人にとってはそうではないということもあります。

 

でも、先の流れを汲んで、よく考慮された指づかいは、合理的で、体の自然な動きに合っているものです。

 

原稿を見ながら「ちょっとおかしいかな?」と感じたところは、作り手の方の好みや癖のようなものなのか、あるいは原稿の中の間違いであるのか、などを見極め、その後の制作の判断へとつなげていきます。

 

 

浄書のお仕事では、指づかいの一つ一つからも、作り手側のさまざまな思いが見えてきます。

 

楽譜がどんな目的のものなのか、事前には何も分からないこともありますが、そのような時は原稿をもとに、こちらで推測するしかありません。

 

その上で、分かりやすい記述、読みやすい楽譜を作ることをいつも心がけています。

 

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