これは”ジャズ”だよ

 

 日本の朝を象徴するもの、それは「連続テレビ小説」だろう。時代が変わっても愛され、体系を殆ど変えず100作以上の物語を綴っている。

 現在放送中の「ブギウギ」ではブギの女王・笠置シヅ子がモデルであるため、朝から名曲が流れている。「ブギウギ」はNHK大阪局が制作している連続テレビ小説だ。大阪局が制作する連続テレビ小説は近年、音楽に凝っている。

 今回は、現在放送中の「ブギウギ」と2021‐22年に放送された「カムカムエヴリバディ」から、「音楽に包まれる朝」をテーマに見ていく。

 

↓↓「ブギウギ」HP↓↓

 

↓↓NHKアーカイブス「カムカムエヴリバディ」↓↓

 

音楽から詩ができる

 「カムカムエヴリバディ」の劇伴を担当した音楽家は、このブログ記事ではお馴染みであり、うたコン指揮者でもある金子隆博、「ブギウギ」の劇伴を担当した音楽家は、これまで数々のドラマの劇伴を担当し、「東京ブギウギ」を生み出した服部良一の孫・服部隆之だ。

 「ブギウギ」の主題歌「ハッピー☆ブギ」の楽曲制作も服部隆之が担当している。この楽曲は作詞も服部隆之だ。このように服部隆之が作詞を担当することはない。作曲をしていたところ自然と詞が浮かんだそうだ。

 一方で、「カムカムエヴリバディ」の主題歌はAIの「アルデバラン」ではあるが、隠れた主題歌がある。それが金子隆博が作曲した「カムカムエヴリバディのテーマ」だ。この楽曲も劇伴制作中に自然と詞が浮かんだ1曲だそう。詩か付いたバージョンを「アナタヲソコニカンジタ‐Amazing Moment‐」と言い、「うたコン(NHK総合)」や「カムカムエヴリバディ 再会コンサート(NHK岡山)」で歌唱されている。この楽曲については以前の記事を参照ください。

 

↓↓以前の記事↓↓

 

 劇伴作家がドラマと向き合う境地には詞が見え、音楽の言う物語にも落とし込まれる。そこから、作品が始まったり、インスパイアソングが生まれたりとよりファンを最深部へと引き込むことが出来るのだろう。

 

主人公を支える音楽

 「カムカムエヴリバディ」では事あるごとに”サッチモ”ことルイ・アームストロングの「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」が流れる。「日向の道を歩いていこう」これがキーワードともとれるドラマで、3世代・100年にも及ぶストーリで主人公を支えてる音楽となっている。

 「どんな状況でも歌い続ける」それが使命である歌手・福来スズ子の人生の中で自分が歌う楽曲に勇気づけられる描写が描かれている。笠置シヅ子の幻の楽曲「大空の弟」はその代表例であり、母親を亡くし、戦争で弟を亡くした福来スズ子が立ち直るきっかけとなった。

 これは、ドラマの見ている人も共感できるだろう。人は音楽を聴かずに生きることが出来ないほど、世の中は音楽にあふれている。だらこそ、音楽に励まされ、音楽で共に泣ける。これを体現する部分が主人公もあることで、親近感が出てくるのだろう。

 

 横道にずれる話だが、羽鳥善一のモチーフとなった音楽家・服部良一のルーツの中にはルイ・アームストロングも含まれており、そのジャズの発想を得て完成した楽曲が「ラッパと娘」となる。即ち、どちらのドラマのキーパーソンとして”サッチモ”がいることになる。

 

ラジオで繋ぐ音楽

 「カムカムエヴリバディ」の劇中で利用されていたラジオが「ブギウギ」でも利用され、話題となった。ドラマの中でもラジオが繋ぐ音楽がどちらでも見えた。

 「カムカムエヴリバディ」では100年の物語であることを表すように、ラジオから当時のヒット曲が流れるという演出があった。余談だが、この音楽も金子隆博の構成である。

 一方、「ブギウギ」では福来スズ子がラジオから流れてくる茨田りつ子「別れのブルース」に感銘を受け、歌手に魅せられるシーンがあった。

 ラジオという情報媒介の1次産業は”音”だけを届ける。だからこそドラマとの相性が良いのだろう。

 

臨場感あふれるステージ

 「視聴者を引き込む」部分で言ったら、この部分を見逃すことはできない。

 「カムカムエヴリバディ」での世良公則扮する柳沢定一がステージで披露した「オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート」やジョー、トミーのトランペットオーディションは朝から上質なジャズを視聴者へ届け話題となった。

 

 

 一方、「ブギウギ」ではUSKの舞台から福来スズ子や茨田りつ子のショーまで歌唱シーンが多い。その中でも視聴者の度肝を抜いたシーンは「ラッパと娘」のフルコーラス歌唱だろう。放送後、NHKのYouTubeで公開された歌唱動画は急上昇ランキングで1位となった。ランキングの多くがK-popなどで埋め尽くされていた中に84年前のヒット曲が君臨することは異例だろう。

 

 

 カムカムとブギウギ、共通して言えることは、妥協のない音楽を視聴者も観客として参加できたことだろう。余談だが、カムカムもブギウギもトランペットとバンド指導はトランペット奏者・MITCHが行っている。

 テレビと視聴者と言う普通に存在する境界を壊して、全員が観客として楽しむことが出来るという新たな発想からテレビドラマを進化させたことは、長きにわたりテレビと共に生きてきた連続テレビ小説だからこそできたのかもしれない。

 

 

今年もやります!予想!

 MUSIC LIFEが提供する話題の中心にもある「NHK紅白歌合戦 出場歌手&曲目予想」を今年も行います。

 

 昨年同様、「NHK紅白予想調査」も行い、予想に反映させます。

 実施方法は昨年同様でありますが、大変わがままなことだと思いますが、回答は以下の凡例に従って頂けるとこちらの集計が行いやすくなります。

 調査フォームは「Google Forms」と「Microsoft Forms」の2種類(内容は同じ)を利用しております。

 皆様の「推しの魅力」などもどうぞお書きください。

 皆様のご協力の程、よろしくお願いいたします。

〇Google Forms

 

〇Microsoft Forms