Worldwide J-popヒットに隠された先代の知恵

 

 2023年は日本人歌手が多く世界で活躍した。このような年は中々ない。だからこそ、「第74回NHK紅白歌合戦」のテーマが「ボーダレス」だったのだろう。紅白の話題をまだ引っ張るかと思うかもしれないが、今回の話題の中心は紅白ではなく、2023年に世界で活躍した2組の歌手についての話題だ。

 2023年は日本の偉大な音楽家が多く旅立た。多く旅立ったが故に、紅白ではあまり触れられなかったことが残念であったが、音楽家が残した偉業や叡智は確実に次の世代が受け継いでいることが垣間見れる部分でもあった。

 そんな内容も少し触れながら「世界で流行ったJ-pop」について深堀して行こう。

 

突如現れた”青春日本代表”

 日本への逆輸入と表現しても良い「新しい学校のリーダーズ」。2023年1月2日にNHK総合で放送された「SONGS OF TOKIO FESTIVAL2022」で「オトナブルー」を歌唱し、サビの首振りダンスが話題となった。

 「オトナブルー」は昭和歌謡である和田アキ子「古い日記」のオマージュしている部分も多いため、老若男女問わず人気となった。また、衣装はセーラー服で「個性や自由ではみ出していく」と言っているように、奇想天外なパフォーマンスというギャップで海外の人からも称賛されているのだろう。

 「制服姿で奇抜なことを行った」音楽家の原型は「YMO」だろう。海外の人からの日本人の印象と言えば「規律正しく、従順」のような表現をするだろう。そこには治安が安定していることなどが関係しているのだろう。その象徴と言う姿が制服のように思える。その制服を着て「今まで見たことのないものを見せる」と言うインパクトは今も昔も海外の人にとっては衝撃的だったのだろう。

 私は昨年8月に放送された「ライブ・エール2023~新しい夏~(NHK総合)」の総評を書いた記事で新しい学校のリーダーズについて触れた部分で「かつてYMOが赤制服・電子音で世界を席巻したように、セーラー服・電子音で注目を浴びている。」と書いた。それから4ヶ月後の「第74回NHK紅白歌合戦」では赤色のセーラ服で「オトナブルー」を歌唱した(紅白だから赤だったと思われるが)。高橋幸宏と坂本龍一が旅立った年の紅白のトップバッターが同じような風格の新しい学校のリーダーズが歌唱したことに、YMOの成功が後の彼女らの成功につながっているように感じた。

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究極は歌いずらい

 昨年の1月、New Jeansが世界のチャートを席巻した時、YOASOBIのコンポーザー・Ayaseは自身のX(旧Twitter)でNew Jeansを超える楽曲を制作すると、決意のポストをした。ここから、日本の音楽界を変える名曲が誕生する。

 4月12日にリリースされた「アイドル」はアニメの人気と共に話題となり、日本のチャートを席巻。更に、アメリカを除く全世界チャート「Billboard Global Excl. U.S.」で日本の楽曲として初めての1位を獲得。日本語の楽曲が世界1位となるのは坂本九「上を向いて歩こう」以来だろう。

 しかし、これは日本以外の話題性と言う方向から見てみるとSNSによる「踊ってみた動画」からの話題が大きいだろう。その中でもK-popアイドルのSNSでのダンス動画が全世界的に視聴され、ボーカル・Ikuraの歌唱が注目された。

 世界一となった楽曲はコンポーザー・Ayaseの凄腕作曲センスと、難しすぎるメロディーで、言葉が詰まっている歌詞を歌いこなす天才ボーカリスト・Ikuraのタッグがあるから評価されたのだ。

 

 

 更に、楽曲はPC上で完結している部分が多い。これは、YMOや小室哲哉、中田ヤスタカと続くテクノポップの進化系だろう。この部分は歌唱シーンを見ているとYMOからの機材の進化と言う面も垣間見れる部分だ。先人たちの創作やそれを裏で支えたエンジニアがいたからこそ、現代の世界で注目される楽曲が誕生したのだろう。

 そして、この楽曲の日本テレビ初歌唱は紅白であった。そこでは、Ayaseに火を付けさせたNew Jeansはじめ、ダンス動画でこの楽曲をさらに話題とさせたK-popアイドル、アイドル文化発祥の日本のアイドルと、国を超え、性別を超え、多様性に満ちた歌唱となった。

 しかし、YOASOBIが昨年、日本のテレビで歌唱した回数は6回、その多数をNHKが占めていた。「日本レコード大賞」にノミネートされなかったことも印象的だった。「アイドル」に関しては音楽番組に出演しないことでのメッセージやプロモーションがあったのかもしれない。そこには、紅白後にYOASOBI公式Xが音楽評論家・柴那典のポストに”いいね”を押したことにも関係する部分があるだろう(筆者の単なる憶測)。

 YOASOBIがより注目されるのは今年だろう。世界を賑わせたユニットの新曲への期待は倍増している。今年の活躍にも目が離せないだろう。

 

【署名活動】#広く楽しめる音楽番組へ

 テレビ音楽番組の改善を訴える「署名活動」を行っている。 テレビは多様な情報を全世代が得るための重要なメディアである。そのため、出演者に偏りや忖度がなく、多くの世代が楽しめる音楽番組が適切だ。上でも少し触れたが、真面目に頑張っている歌手が、馬鹿を見るようなことがあってはならない。それを改善するための「署名活動」だ。

↓↓詳しい内容↓↓

 

 

↓↓埋め込みで署名できない方はこちら(内容は同一)↓↓

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