山河/五木ひろし

 

 時に音楽は聴き手の心情によって、その意味が大きく違ってくることがある。また、歌い手もその時の心情によって伝わり方が変化することがある。そんな状態になったことが出来たと筆者が考える曲を今回紹介する。

 

山河/作詞:小椋佳 作曲:堀内孝雄 編曲:川村栄二 歌:五木ひろし(リンクは2019年アルバムバージョン)

 

 ヒットメーカーが創った名曲

 この曲は2000年にリリースした曲であり、世紀が変わった時代に燦然と現れた演歌だ。この年の大晦日「第51回NHK紅白歌合戦」ではこの曲で大トリを務めた。

 作詞を手掛けた小椋佳は美空ひばり「愛燦燦」や布施明「シクラメンのかほり」などを制作したことで知られており、作曲を手掛けた堀内孝雄は谷村新司らと「アリス」として活動しており、ソロでは「君のひとみは10000ボルト」がヒットしたことで知られている。

 彼らが手掛けたこの曲は、極めて壮大な歌詞の世界に、壮大な音楽で包まれる曲となっている。

 

 歌詞・曲からみる壮大さ

顧みて、恥じることない

足跡を山に 残したろうか

永遠の 水面の光 増す夢を

河に浮かべたろうか

(中略)

歳月は 心に積まれ 山と映り

歳月は 心に流れ 河を描く

(歌詞より、引用Uta-Net)

 この曲は人の人生や功績を山と河で例えている。山は人生という道のり、河はその山からできた功績だろう。また、2コーラス出だしには「歳月(時)」を思い出として心に積まれる部分と過ぎ去っていくものを山・河で表している。この部分は鴨長明の「方丈記」にも通じるだろう。

行く川の流れ絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

(方丈記より)

 水が流れている「川」は変わらいものであるが、流れている「水」は絶えず変わっていることをこの分では言っている。これは、時が流れていることや日々変わっていることを例えていると感じる。正に「山河」と言う曲とぴったりと合致する。

 古き文章にも通ずる部分があるほどに壮大な曲なのだ。

 

 コロナ禍の紅白での歌唱の意味

 2020年、新型コロナウイルスの感染に翻弄された世界。音楽界は不要と言われ、観客・歓声が消えた。大晦日の第71回NHK紅白歌合戦も史上初の無観客で行われた。この年は、多くの人の夢や目標が途絶えただろう。そんな中、五木ひろしは50年連続、50回目の紅白であった。その自分が残した功績、さらにこの年、夢破れた多くの人たちへのエールを込めて「山河」を歌唱したのだろう。関係者以外誰もいないNHKホールで、感染症対策で大幅に拡張された舞台の上でたった一人、迫力のある歌唱でこの曲を歌い切った。

 この曲は、壮大な物語であり・今後も歴史に名を遺す曲になるのだろう。

 

【緊急】NHK紅白事前調査

 MUSIC LIFEでは「NHK紅白歌合戦」についてこれまでも調査を行ってきた。今回は「第74回NHK紅白歌合戦」の放送前に調査を行い、それを踏まえて11月、12月の紅白に関する記事につなげる。

尚、調査は11月11日(土)に終了しました。ご協力ありがとうございました。結果は随時ブログ記事にて公開されます。

 

 

紅白に関する調査を行っています。

「全国民対象NHK紅白歌合戦世論調査」を行っています。併せて、「紅白出場歌手予想」への幅広い意見の収集のために出場歌手予想調査も行っています。

世論調査は終了しました。ご協力ありがとうございました。

↓↓結果開示のブログ記事↓↓


↓↓調査の詳細はこのブログ記事↓↓