ハマいく/ビートDEトーヒ

 

 今日は、テレビの勢いが弱くなっていると言われている。筆者はそうは思っていない。なぜなら、テレビで話題になっている事柄がSNSでも話題になっているからだ。

 今回紹介する曲は、それを体現している。この夏、それがより鮮明になったと言っても良いだろう。

 

ビートDEトーヒ/作詞・曲:meiyo 歌:ハマいく

 

 テレビ発の曲、そして芸人の歌唱

 「上を向いて歩こう」、「怪獣のバラード」、「だんご三兄弟」などNHKをはじめとするテレビ局が制作した番組から多くのヒット曲ができている。「ハマいく」が歌唱している「ビートDEトーヒ」もその一つだ。

 「ハマいく」とは、2022年4月からNHKで放送が始まった若者向け音楽番組「Venue101(べニューワンオーワン)」のMCを務める元乃木坂46で現在はミュージカルなど多方面で活躍している生田絵梨花とお笑いコンビ:かまいたちの濱家隆一のユニットだ。

 この2人の歌唱は、ミュージカルで鍛えられた抑揚のある生田絵梨花の歌唱と芸人ではあるが硬くならず、良い意味でラフに歌唱する濱家隆一という2つのセンスがうまく調和しており、それが一つの響きとなって曲が完成している。現代風に例えるなら「多様性があるユニット」とでも言えるだろう。

 昨今では芸人が歌を出すことは珍しいことではなくなった。それを切り開いたのは東京ぼん太やビートたけし、明石家さんまなどが挙げられるであろうか。「ハマいく」では歌とダンスである。そうするとウッチャンナンチャン、キャイ~ンが歌とダンスを行い始めた芸人であろうか。このような流れの中で「ハマいく」はこれまでに考えられない流行り方をしていると言えるだろう。

 

 生みの親NHK、育ての親フジテレビ、成長はSNS

 「ハマいく」は「ビートDEトーヒ」で2022年9月24日の「Venue101」公開収録にてNHKホールでデビューした。その後、NHK MUSICのYouTubeチャンネルでダンス動画をアップして大きな反響を呼んだ。しかし、これだけでは多くの人へ届かなかったかもしれない。

 多くの人へこのユニットと曲を広める要因となったのはフジテレビ系で放送されている「千鳥の鬼レンチャン」でのお笑い芸人千鳥の二人とかまいたちの山内の愛のあるイジリだろう。さらに、今年7月22日から放送された「FNS27時間テレビ」と「Venue101」の2局同時生放送でさらに話題となった。テレビ局の壁を越えてテレビから生まれたユニットが活躍し、話題となるのは前代未聞の試みだろう。

 SNSでの「踊ってみた動画」での話題の共有は昨今のヒットには欠かせない事柄だろう。その意味でハマいくの「ビートDEトーヒ」はそれも確実に行えた。TikTokが公表した「TikTok上半期トレンド2023」ノミネート23選の「チャレンジ部門」にこの曲がノミネートされた。

 このように、テレビ局の垣根を越えて、SNSも巻き込んで一つのムーブメントを創りあげようとしていることは今だかつてない試みであるように思える。

 

 メロディーはポップだが歌詞は...

 ここからは、曲の内容に関して見ていく。お手数をおかけするが、歌詞はUta-Netで読んでほしい。今回は全体を知ったほうがより分かりやすいからだ。

 この曲の歌詞は、出だしから暗い。1コーラスのサビはより暗い。「七転八倒」と言う単語が歌詞に登場するのは初めてではないだろうか。七転八倒とはころげまわって苦しみもだえること(広辞苑)をあらわしている。とにかく暗い。これは昨今の社会を映し出しているともいえるだろう。それを少しでも忘れるために、その状況から逃げ出すためには「音楽=ミュージック」が必要だとサビが終わる。音楽の重要さを語っていると言えるだろう。

 打って変わって、2コーラスでは濱家隆一のラップが始まりハマいく2人の魅力が表現される。この締めに生田絵梨花のピアノの安定感がこの曲を洗礼された音楽へと仕立て上げている。これを約2分にまとめられていることに驚きだ。

 このような短い曲の中に多くのことが詰め込まれている曲は以前にもあった。それは、「おかあさんといっしょ」(Eテレ)から生まれた「ぼよよん行進曲」だろう。この曲は、子供向けにつくられた曲ではあるが、歌詞は多くの人へ刺さる。ロングバージョンもあるが、放送版は約2分だ。

↓↓「ぼよよん行進曲」についての記事↓↓

 この2つの曲で共通しているのは男女2人が歌っていること。そして、曲中の「合いの手」だ。良い部分で合いの手が入り、曲に引き込ませる。さらに、誰もが真似できるわかりやすいダンスがよりポップに見せる。これは一つの方法論なのかもしれない。

 

 「ハマいく」が目指す目標は「NHK紅白歌合戦」への出場だ。「明石家紅白」、「ライブ・エール」などこの夏に多くの人へ「ビートDEトーヒ」を届けた。これらの放送後、YouTubeを含めたサブスクリプションでのこの曲の再生回数は増加している(YouTube‐ミュージックビデオ:8/22~8/28で12万回増加)。今年の年末はその目標が叶うかもしれない。

 

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