ドラゴン桜  ~ 国語教師 芥山 龍三郎のメソッド~ ③ | 酒場ピアニストがんちゃんのブログ - 読書とお酒と音楽と-

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昼はジャズ・ラウンジピアノ講師 (江古田Music School 代表)

夜は銀座のBARピアニスト(ST.SAWAIオリオンズ専属)

コロナ禍ではジャズの独習用eラーニング教材を開発してサバイバル

そんな筆者が綴る、ブックレビューを中心とした徒然日記です。

 

一昨日より、龍山高校の国語教師、「芥山 龍三郎(あくたやま りゅうさぶろう)」の名物授業を紹介している。小論文、古文と、芥山のエッセンスを紹介してきたが、今日は現代文講義のエッセンスをお届けしたい。

 

■第101限目 現代文はいい加減であれ (コミックス11巻)

 

まずは、芥山の講義を抜粋引用する。

 

・・・・・・・

 

真面目で論理的であろうとする人ほど現代文は苦手

理由は現代文の文章にあります

 

出題される問題文は非常に難しい

そして時間の割に文章が長い

 

大人が読んでも苦労する文章です

高校生にパッと読んでわかれというのが無理です

 

ですから現代文の文章を一読するだけで

内容を理解できる人はほとんどいません

そう考えていいのです

 

ところが真面目な人はそう思わない

繰返し読んで内容を深く理解してから

問題を解こうとする

 

これが真面目な人が陥る落とし穴

テスト時間内に内容を理解しようとあがいても

答えには近づきません

 

(中略)

 

多くの受験生は現代文で色々な思い違いをしている

心理的な病気といってもいい

 

それは。。。

 

“答えがいくつもあるかも病”です

 

いいですか・・・

国語といってもテストなのです

正解があってそれを採点するのです

 

採点者で誤差があってはいけません

答えが一つに統一されていないと

公平性を保った採点ができません

 

ではなぜ国語の応えは色々あると思ってしまうのか

 

数学理科は自分で考えて答えをひねり出す

そうやって答えを出しますよね?

 

国語も同じだと思ってしまいがちなんです

問題を与えられたら頭の中から答えを導き出さなくては

と考えてしまう…

 

そう思うことが間違い

 

現代文の問題で解答者独自の考えをたずねているものなどありません

 

 

文章の中から答えを探し出す能力…

それが求められているのです

 

・・・・・・・

 

これについて、さらに私が解説を加えても蛇足というものだろう。

コミックでは、さらに102限目の講義「傍線部の近くを探せ」と続き、より具体的なノウハウを紹介しているので興味があれば、コミック11巻を読んで欲しい。

 

 

■第120限目 自分で考えるな! (コミックス13巻)

 

 

それでは、例により芥山の講義を抜粋引用する

 

・・・・・・・

(センター試験国語対策の授業)

 

以前に数学の問題を自分でつくることで理解力が増したことがありますよね

 

その要領で国語では答えを作ってみましょう

 

センターは五択ですから

問題作成者は正解を一つ、不正解を四つ、つくります

 

ではどういう手順でつくるか

 

まず正解を作ります。例えば…

 

「作者は、自然環境保護の大切さを訴えている」

 

これが正解の選択肢とします。

 

この他の4つの選択肢をどう作りますか?

 

(中略)

 

整理して説明しましょう。

 

誤った選択肢① 「反対」(正解とまったく逆のことを言っているもの)

 

「作者は、人工的なものの美しさで、失われていく自然の代わりとしなくてはいけないと主張している。」

 

誤った選択肢② 「すりかえ」(本文中の言葉を使っているが論旨が違う)

 

「作者は、自然の素朴さは、都会的な生活における癒しとなるため保護すべきであると主張している。」

 

誤った選択肢③ 「言い過ぎ」(本文の内容を誇張している)

 

「作者は、社会において常に最優先すべきは自然環境保護であり、政治家はそれをもとに政策を作るべきだと主張している。」

 

誤った選択肢④ 「不足」(言い足りなくて論として不十分)

 

「作者は、絶滅に瀕した動物の保護が世界的な課題であると主張している。」

 

誤った選択肢⑤ 「勝手なことを言う」(本文に全く書いていないが世間的に正しいことを言う)

 

「作者は、石油の枯渇問題を真剣に考える必要があると主張している。」

 

 

 

「勝手なことを言う」は世間的に正しいから、センター国語の形式に慣れていない受験生は引っかかってしまってこれを選びがちです

 

あと「言い過ぎ」も引っかかりやすい

 

でも「言い過ぎ」には

 

絶対・必ず・常に・だけ・のみ・すべて

 

などの言葉が使われてるからすぐに見分けられます

 

 

(中略)

 

センター国語の根本的概念である「自分で考えない」とは・・・

客観性を持てということ

 

「独りよがり」になってはいけないということです

 

国語という教科は個人の意見を問われていると考えられがちですが

そうではありません

 

では何が問われているか…

 

大多数が納得できる一般論を見つけ出せるかどうかが

問われているのです

 

(中略)

 

この理念を理解し客観性を身につければ

国語だけでなく全ての教科の問題が簡単に感じるでしょう

 

・・・・・・・

 

 

今回の講義は、やや受験テクニックに寄ってはいるが、受験にとどまらず広範に役立つ知見も含まれていると思う。

 

「国語は全ての学問の基礎」となる大切な科目。自分の考えを、正しい論理で、客観性を踏まえた形で語るためにも、芥山の講義エッセンスはしっかりとおさえておきたい。

 

「ドラゴン桜」ブログ ~国語教師 芥山龍三郎のメソッド ~ シリーズはこれにて締めようと思います。

 

次回はまた他講師のエッセンスを紹介させて頂きますので、お楽しみに!

 

※明日12月1日、2日は、通常のブックレビューに一度戻ります。

  「ドラゴン桜」のコミックレビューシリーズは、12月3日以降に再開します。

 

 

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江古田 Music Shool 代表 

 

岩倉康浩

 

日芸受験専門の個人指導もやっています。