ミュージックバンカーは「エンターテインメントを通じて自己実現を応援する会社」、と最近よく言います。
我が社に自己実現を求めてやって来る人に向き合い、共に考え、道を模索するのがミッション。
ですから、エンタテインメントに関する多様な取り組みを行っています。
その中で、映像案件のお仕事があります。
エキストラから、そのもう少し上を行くレベルの案件は、日々オファーが絶えません。テレビ局本体からも直接問い合わせがあります。
しかし数年前、「こういう仕事はもう全部断ろう」と考えていた時期があります。
会社としても、労力と責任に対して、収益が少ないからです。
また、「エキストラなんてやってても、どうよ・・」とも思っていました。
しかし、ある役者志望者と出会ったことで、少しずつ考えが変わってきました。
それは、稲垣柊輝という男性タレント。
BIGLOBEのCMシリーズで見たことある人も、いらっしゃるかと。
弊社の中ではシニアタレント部門に属する役者ですが、この2年ほどは連日出演オファーをいただいております。
案件自体は、まだまだエキストラ含めた小さなモノが多いのは確か。ただ、その上を行く役(セリフ)ありのお仕事、増えています。
今や9割以上の仕事が、キャスティング側から指名でスケジュール確保を求められるので、「選考落ち」ということは稀です。
さて、ここで「稲垣が求められる」秘密の一端を客観的に検証しましょう。
皆さんの活動のヒントにしていただきたいと思います。
秘密その1: 仕事を選ばない、断らない
稲垣柊輝は、これまで一度もオファーを断ったことがありません。
とにかく「映像案件に出る!」、自らの行動指針をこの一本に絞っています。全くわき目を振らない。
エキストラ案件のギャラは総じて安いものですが、中でもドラマのエキストラは、現場まで行く片道交通費よりも報酬手取りが少ないこともあります。
その条件の中で、「すみません!明日現場行けませんか?」と前日18:00に言われた! あなたならどうします?
しかも、その明日に先約のバイト(日給10,000円)が入っていたら…
稲垣は迷いなく、バイトをキャンセルし、映像現場に行きます。もちろんバイトは、「それでもOK」の職場を選んでいるのは当然。
これをずっと続けています。
そのうち、「明日は稲垣さん空いてませんか?」「○日~○日までスケジュール確保お願いします」と、毎日のように問い合わせが来るようになりました。
皆が嫌がる仕事を率先して担ってくれると、そこに感謝が生まれる。
すると、たまに大きな役どころを選考するときに、「稲垣さん、どうかな?」になるわけです。その場合、ギャラも桁が違って来ますよね。
もう20歳を超えてるにもかかわらず「俺、映像で役やりたいっす」などと言ってるレベルの人は、せめて稲垣くらいの覚悟をもって取り組んでほしい。
条件の悪い案件こそ、最優先に取り組む。絶対に仕事を断らない。
「いつか自分にもチャンスが振ってくる」と夢見ているだけの人は、文字通り夢で終わることでしょう。
弊社の所属の中にも、「そういう小さなこと、やんなきゃダメっすかぁ?」なんてヤツ何人かいたけど、案の定何年経っても何一つ形になってないもんね。
秘密その2: レスポンスの速さが半端ない
稲垣柊輝は、代表の私が自らマネジメント担当している数少ない役者の一人。
基本LINEでスケジュール確認しますが、そのレスが5秒で返ってくることも珍しくありません。
キャスティングや制作からオファーがあり、スケジュール確認後、お仕事の確定まで1分以内ということも。
この高速レスポンス、私自身も心がけ、そして周囲にも求めます。
返信の速度は、信頼関係の積み上げに大きく影響する要素の一つ。
その返信の向こう側に、「自分の返答次第で動きが変わる、多くの大人たちが存在しているかも知れない」と立体的に想像できなければ、社会人失格です。
特に芸能の現場は、「選ばれたあなた」の代わりが効かない仕事。
「佐藤君が遅刻みたいだから鈴木君、彼が来るまで代わりに担当してくれる?」じゃあ、無いんです。
一人のエキストラが現場に来なかっただけで、数十人が何時間も待つこともあり得ますし、それだけのために数百万の損害賠償が発生する可能性も。
「明日朝7時、集合場所は秩父駅からバスで10分、服装はスーツで」なんていう当日詳細メールに対して、日付変わった0時過ぎてもレスが無かったとしたら?
マネージャーは不安過ぎて、寝れないでしょう。
まだ電話も繋がればマシですが、いずれにせよ、そういうストレスを人に与える可能性がある役者は論外です。
高速レスポンスで、信頼を積み上げる。重要です。
秘密その3: どの現場も楽しみ、そして可愛がられる
稲垣柊輝とは、ギャラの受け渡しを直接会って行うことにしています。
喫茶店などで待ち合わせるのですが、その時間が月1回のミーティングの場となります。
「先月行ったあの現場はすごく楽しかった!」「尊敬している○○監督に声かけてもらったんです!」「何十人もの中から自分だけセリフもらえたんです!」
「今回の現場、去年お世話になった同じスタッフさんがいて、覚えててもらって挨拶してくれて嬉しかった」
など、目をキラキラさせて報告してくれます。
辛かった、とか、ギャラが安くて、など、一度も不平不満を漏らしたことはありません。
「今はとにかく頑張るだけ、結果はついてきます!絶対恩返しするから、見ててください!」と決して希望を損なわない。
「ホントいつもありがとうございます!」と感謝してくれる。
稲垣、実は私と同い年です。このバイタリティー、凄くないですか?
10代/20代こそ、こうであって欲しいのに、ほとんど居ないよね、残念だけど。
若くてルックス良しのタレント志望だが、出来ない言い訳や泣き言ばかり吐いている子。
一方で、未来の希望に満ち溢れ、一つ一つの現場やチャンスに感謝を忘れない中年役者志望。
私は断然、後者の方を応援しますね。
一番多く起用してくれるキャスティングの社長も、現場で稲垣がフックアップ/フォーカスされると、心から喜んでくれます。
冒頭のBIGLOBEのオーディションが通った時も、別シリーズ撮影が決まった時も、電話かけてきてくれました。
「これ稲垣さんの代表作になりますよ、やりましたね!もうすぐYOUTUBEでも見れるんで、絶対見ておいてくださいよ!」って。
今後も、次のステップに繋がる案件チャンスが出てくれば、稲垣に声かけてくれるでしょう。
「稲垣柊輝のために尽力してみよう」
そのように周囲に心から思わせられない人は、まず向いてません。
人が人をフックアップして、はじめてチャンスを得れる業界ですからね。
まとめ:
いかがですか?
私は、やっぱり映像案件、続けていこう、と思い至った経緯があります。それはパートナーの一人が稲垣だったからです。
将来、彼を成功させられるかどうかは分かりませんが、彼が居てくれる以上、少なくとも環境は創っていこうと考えています。
もしかしたら、何かのきっかけで・・・と思えるから。そしてワクワクを共有していきたい。
このように相手の心を動かすことが出来る人であれば、エンタテイメントを通じて自己実現を目指す資格はあるはず。
「我こそは!」と思う人は、ミュージックバンカーの門を叩いてみてくださいね。
ミュージックバンカー代表取締役 水谷智明