外来種たちのパンゲア 3 | ミニ地球世界のプチ神様を目指して

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今回、「生物多様性」について足早に調査をしてみて、7年くらい前に感じたことと、ずいぶん印象が変わったので、まずはその辺から語っていきたい。


インターネット上の文献を探っていくと、はじめにこの言葉が登場したときには、そうとう、ふんわりした概念だったということは間違い無さそうだ。

しかし、最初にこの言葉が登場した時点ですでに、ある特定の生物種のみを保護しようとしても無理で、生態系とか生息地ごと保護しないといけないということはハッキリしていたのだろう。


その後、時間をかけて「生物多様性」という概念は磨きあげられてきた。

その結果、7年前にいろいろ検索したときと比べて、「曖昧だなあ」とか「恣意的だなあ」と感じる部分は大幅に少なくなった。

検索して出てくる情報には「生物多様性」という概念に対する批判はなかなか見つからなくなり、代わりに、子供向けの説明や、専門的過ぎる説明が目についた。

おそらく、専門的な説明は7年前の時点でも、もっとしっかり探せば見つかったのだろう。しかし、この7年で、そういった専門的な説明や子供向けの説明も広く普及するという変化が起こったのは確かである気がする。

今となっては証拠を示すこともできないのだけれど。


この文章は、生物多様性について完全な理解とか、十分な理解に達しているわけではない人間が書いている。もう少し勉強してから書いた方が良いのかもしれないが、いつまで経っても何も書けないという状態に陥るよりは、勢いに任せて、今思っていることを書いておくのも意味があるのかと思った次第である。


したがって、以下に生物多様性という概念に対して、批判的な疑問を書くが、その中には素人の浅はかな勘違いも含まれるだろうし、もしかしたら本質的な困難も含まれるかもしれない。

しかし、私は、もしそのような困難があったとしても、生物多様性という概念がさらに発展を遂げ、生物の保全という結果に結びつくていくことを願っている。これは明言しておく。


【一般に言われていること】

生物多様性とは、3つの階層で考えるものである。

一番分かりやすいのは、種の多様性。

そして種の中の遺伝的多様性。

そして沢山の生物種と環境が相互作用してつくりあげる生態系の多様性。

これら3つの多様性を守っていくことが必要である。

何故なら、人間は生態系から多様なサービスを受けており、今後もその恩恵を失わないようにする必要があるからだ。



【疑問】

このような立派な目標に対して、真正面から否を唱えることは難しいし、その必要もない。

しかし、ずいぶん理論的に明快だとは思うが、これを見てもまだ疑問や不満は残るのである。


それはまず第1に、このような方針を開発の現場に当てはめるまでには、まだまだ数多くの困難がありそうだということだ。というか、これらの多様性を文字通り完璧に守ろうとすれば、もはや如何なる新たな開発も許されず、すでに我々が行っている活動も直ちに中止しなければいけないという、およそ現実離れした結論になるのではないだろうか。


そこまで極論に走らないとしても、例えば100箇所の生態系のうち、どこか1つを選んでどうしても開発しなければならない場合、その中によく似た2つの生態系を探して、そのどちらかを泣く泣く開発するということになる。


しかしその2つの生態系を比較すると、生態系Aの方が種の多様性が高く、しかし生態系Bの方は幾つかの種において遺伝子の多様性が極めて高いという場合、どちらの生態系をぶっつぶせば良いのだろうか?


そもそも、AとBは違う国にあるかもしれない。開発による受益者と、生態系サービスの喪失という損失を被る者が一致しないのが普通である。


そもそも、種の多様性も、生態系の多様性も、素人目で分かるほど極端な場合も無くはないだろうが、基本的には専門家による大規模な調査をしないと判定できないだろう。遺伝子の多様性ともなると、もはや素人の観察では手も足も出ないと思う。

ましてや、それぞれの多様性の測定方法が必ずしも一致しておらず、その内容は非常に専門的で、私には、一読しただけでは全く理解できないものもあった。


これらのことは何を意味しているのか?

それは生物多様性を評価するコストの大きさと、保全が間に合うのかという時間的なシビアさ、そしてその結果が、我々の素朴な直観とはかけ離れたものになるかもしれないという可能性である。実際に、日本各地の生物多様性を見てみると、意外なことに都市部の生物多様性が高いらしい。それは、人口が多いような人の住みやすい地域は、他の生物にとっても住みやすいということ、お金持ちの庭や、城跡などに豊かな自然があるということ、そして外来種が多く進出していることによるそうだ。


そう、第2に、外来種と生物多様性について、どう考えれば良いのか、生物多様性の原則からだけではよく分からない。そこを明確に示してほしい。いや、なるべく生物を移動させない方が良いっていう結論になることは予想できるのだが、その理屈があまり明白ではない。私がアホだからなのだろうか?


そして、第3に、生態系の安定性と、生物多様性の関係が、よく分からない。ブラックバスとブルーギルとアメリカザリガニしかいないように見える池は、それなりに安定した生態系なのではないか。また、ビーチワールドという商品は、エビと藻類しか視認できない生態系をつくり、それは非常にコンパクトであるにも関わらず、10年以上持っているという報告がネット上に多数見られる。種数が少なくても成り立っている生態系は、原始的なコンクリートの塊にも似ていて、それ以上壊れようがないという意味で強靭なのではないか? それと比較すると、生物多様性が高い生態系とは繊細で複雑な高層建築のようなものではないだろうか? 


以上、殴り書きになってしまったが、最近考えていたことを文字に起こしてみた。


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