こんにちは!
飲み屋での与太話を集めたような人生を謳歌し続ける男、虫歯天使です?
今日は、大学院生時代の体験を書きたいと思います。もういい歳ですし、お酒の飲み過ぎでこれ以上記憶が失われる前に、人生の面白いエピソードを書き溜めておこうかな、と思いました。
(ちなみにこれは、昨日、久しぶりに読み返した「喧嘩稼業」のサクライに影響を受けた行動であることは言うまでもありません)
虫歯天使が大学院にいたときに、ものすごくデカい国際学会が開かれました。
んで、その目玉のゲストとして業界では超有名な天才学者が海外から招かれました。ノーベル賞受賞者です。
これは色々な意見がありますが、ノーベル賞の中にも色々なランクがあります。南部陽一郎氏のノーベル賞は、ノーベル賞の中でも最高レベルだと考えて良いと思います。
そのとき招かれたのも、最高レベルのノーベル賞受賞者でした。確か、講演会やって、その夜に立食パーティーやって、次の日から学会みたいなスケジュールじゃなかったかな?
事件は夜の立食パーティーで起こりました。
我々、大学院生は、東急ホテルの大きな部屋に盛り付けられたきらびやかな料理を見て、完全に我を失ってしまいました。
会場には、我々がほとんど一番乗りで、まだ人はまばらです。ゲストの歴史的な天才学者も到着が遅れるようでした。
うまい!
うますぎる!
なんだこりゃあ!
我々は動物に戻ってしまいました。
そして、見つけてしまいました。
ステーキがあるやないかぁぁ!
それはどう見ても、メインディッシュ的な位置付けで、並べられていました。
我々は、一瞬躊躇し、さすがにステーキを食うのは待った方が良いのでは?
と、誰かが言いました。
他の誰かが、我々もここでは客としての権利を有するのであれば、少なくとも一枚は食べても良いだろうよ、と別の誰かが言いました。
こういうバイキング形式なんだから、お代わりをする人間を想定していないことはないだろう、とまた誰かが言いました。
仮に、食べて良いステーキの枚数をk枚としたとき、少なくともk=1は許されることがわかった。おかわりが可能という条件を式に直せば、k=nが真のとき、k=n+1も真だということになるような気がしなくもない。などとは誰も言っていません。
私自身、三枚から先は記憶にございません
どれだけの時間が経ったのでしょうか。
例の天才ノーベル賞科学者がとうとう会場にやって来ました。
料理は、まばらにしか残っておらず、ステーキは一枚もありませんでした。
みんなお酒も入って、すっかり盛り上がっており、ほとんどの人が主役の登場に気づきもしません。
天才ノーベル賞科学者と一緒に会場に来た、うちの教授の中で一番偉い人が、すぐさま、自腹でステーキを追加注文しました。
天才ノーベル賞学者は、にこやかにステーキを受け取っていました。さすが天才、器もデカい!
しかし、会場はすっかり彼を置いてきぼりにして盛り上がっており、彼は自分がどこに着席しようか、迷って、ちょっと困っているようでした。
私がこのようにことの成り行きを見守っていたのは、さすがに食い過ぎたという罪悪感と、もうすっかり満腹でこれ以上やるべきことはないという余裕があってのことだったのは言うまでもないでしょう。
そして、天才ノーベル賞学者は、おもむろに、マイクの置いてある小さな台にステーキを置いて、座りました。
いや、それ、司会者のやつだから!
そんなわけで、最高の頭脳と名誉をもっている人が、謙虚で器もデカかった、というお話です。
彼の講演の記憶も少しだけあります。
一般客向けの講演だったので、内容もいくらかは理解できました。
しかし非常に印象的だったのは、スライドショーの美しさでした。当時は、パワポやキーノートも、それほどテンプレートが充実しておらず、ましてや数式が多くなりがちな理系の発表は、視覚的にはものすごく野暮ったいものが多かったのです。
しかし、彼のスライドショーは、文字通り見ているだけで楽しいほど美しく、洗練されたデザインでした。
「このレベルの人になると、スライドショーをプロに編集してもらうのかな?」
と思ったのですが、この学会の後、なんと天才ノーベル賞学者は数日間、我々の院生部屋の向かいに滞在していたのです。
そこで、彼が、実に丁寧に、スライドショーのデザインを整えている姿が目撃されています。
天才は美的センスも抜群!
このとき、学会に集まったメンバーで集合写真を撮りました。それはノーベル賞受賞者が3人写っている写真でした。風邪で欠席した南部陽一郎氏がいれば、4人です。
こんな写真に写ってしまったら世界中に拡散されるがな! と思い、私はこっそり、人の影に隠れてました。
何にしても、貴重な体験だったなあーって、思います。
ステーキについては、
正直すまんかった!
ウソみたいなホントにあった話、次回は
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