人気マンガの糞化 | ミニ地球世界のプチ神様を目指して

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40過ぎのキモカワ系男子・虫歯天使が前人未到の領域に挑戦する。→ In English
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1 マンガの糞化とは何か

なぜ、あんなに私たちを熱狂させた人気マンガが、あんなふうに糞化していくのでしょうか。


これは既に様々な場所で語り尽くされた感のあるテーマですが、今回はもう一度問題を整理し、できれば新しい視点を設定してみたいと思います。

刃牙を例にしていえば、
最大トーナメントは神だった!
という人が多いと思いますが、
花山スペック戦がピーク
いやいや克己対ピクル
みたいな多様な意見があると思います。
決して、ずーっと面白くないわけじゃないんですね。期待してしまうし、読んでる。

けれども、
死刑囚編は全体としてはガッカリ
アライJr.にもガッカリ
ライタイ祭にもガッカリ
オリバとの決着もイマイチ
ピクル対刃牙はよく覚えていない
勇次郎対刃牙は、やっぱりイマイチ。まあ、エアちゃぶ台返しというネタを用意したところは評価すべき

みたいなのが私の感想です。
まあ一言でいえば、ダメになっている。
似たような現象は、他にもいくつか例があがります。
たぶん、私が読んでいないだけで、長寿マンガってほとんどこういう感じなのかもしれないですね。
ただ、ゴルゴ13のように、クオリティを保っている(同じことを繰り返している上に、大人数でつくっている)ものもあるので、読んでいない作品については、勝手なことを言ってはいけませんね。
まあ、こち亀は10年くらい読んでないけど、10年前にはすでに激しく糞化していると感じていましたし、最近面白くなっているなんていうことがあれば、逆に神ですね。
センゴク、キングダム、嘘食いなんか、全然糞化してないです。まじリスペクト。

そういうわけで、もちろん、すべてのマンガが糞化するわけじゃないんですが、ある程度の一般性のある現象として、長期連載マンガの糞化というものが存在すると。これが私の認識です。


2 糞化の構造的要因


一般的な現象には、構造的な要因があるものでしょう。
よく言われるものとして、マンガ家が連載を終わらせたくても、編集部がそれを許さず、無理に引き伸ばされてしまうというものです。
こういうことが本当にあるのか、自分で計算して確かめるわけにはいかないので、業界人ではない人は、状況証拠とか噂とか証言とかをを積み上げていくしかありません。その結果、虫歯天使的には100%、あると信じることができます。だいたい、そういうインセンティブがあるわけですよね。

しかし、ここで、いくつか疑問が残ります。まず、なぜ、マンガ家のアイディアは枯渇するのでしょうか。そこをはっきりさせておきたいです。答ははっきりしていると思います。人気マンガ家になれる才能を持って生まれた人でも、人気作品になれるほどの着想を得ることができるのは、多くの場合、1回きりなんでしょうね。大体数のマンガ家は、そもそも大ヒットを飛ばせません。大ヒットを飛ばせる人のほとんどは、一生で一度きりの大ヒットなのです。もっと言えば、何度もヒットを飛ばせる人でも、何度も似たような作品を書く場合が多いと思います。

こう考えると、マンガとしてキレイに終わらせることのできるタイミングで、編集部が引き延ばそうとする理由もわかります。終わらせても、そのマンガ家が、次に新しく面白いマンガを生み出せる可能性は非常に低いのです。

大ヒット作が1個あることと、コアなファンが買い支える良作が沢山あることとは、全然意味が違います。
大ヒットで、アニメ化され、映画化され、フィギュア化され、ラノベ化され、ゲーム化され、というメディアミックスヒットまで到達すると、マンガ家本人にも、出版社にも、桁違いの利益をもたらします。だから、そういう作品を作り出し、なるべく延命させるように、出版社は機能するはずです。そういうインセンティブが、良い作品を生み出すことと一致する段階もある、もちろんあるに決まっているのですが、激しくズレてくる段階もあるわけで、要するにそれがマンガの糞化だと思うのです。


3     ちょっと新しいかもしれない視点

けどまあ、ここまでの話には、ある重要な視点というか、論点が抜け落ちているということに、最近、虫歯天使は気づきました。
虫歯天使の脳外では、こんなことは、当たり前なのかもしれませんが、私としては新鮮な発見に思えたので、ドヤ顔で言わせてもらいたいと思います。

しかしなぜ、糞展開でダラダラ引伸ばすなんていうことが、可能なのか。
創作者にとっても、ファンにとっても、明らかに時間の無駄、金の無駄、人生の無駄、ていうか紙が無駄だよねっていうクオリティのものが世に出され、延命が成功してしまうのか。

その、クリティカルな要因は読者の側にあると見るべきなのではないでしょうか。
つまり、こういうことが言えます。


一度形成された愛着は、そう簡単には消えない!

そう簡単には、とはどのくらいのものなのか。
お分りでしょう。
最大トーナメントまでが、最高だったから、その後も10年以上読んでしまう。
ララパルーザが最高だったから、ブライアンホーク戦が最高だったから、その後も10年以上読んでしまう。

あのときを越える熱狂を期待して。

ヤバくない?10年以上の肩透かし。その間に費やされたお金、時間、紙資源、…


それでも、
まだ、
一歩に、刃牙に、一護に、両津に、形成されてしまった愛着はなかなか消えないのです。これって、非常に理屈に合わないというか、何のためにそういう機能が私達に備わっているのか、不思議ですね。おそらく進化的な理由があります。


今後掘り下げるテーマ
1 なぜ人は一生に1個程度しか傑作を生み出せないのか
2 なぜ愛着は、それほどまでに消えにくいのか

次回の漫画批評はこちら!


前回はこちら!


そもそもこのブログは何なんだ!?

という方は、こちらの記事から!





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