BUMP OF CHICKEN 『パレード』 | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
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藤原基央がニヒルに世界を歌う曲だ。彼らのアルバム中では、よく序盤に位置するものが多いが、『モーターサイクル』などがそのタイプになり、バンプの陰の側面を担う曲でもある。

電子音が徐々に迫ってくる不安を煽り、リズム隊のアンサンブルが、彼らのダーク・サイドなポップさを助長させる。藤原の持つニヒリズムな視点で歌われる曲は、他に『才脳人応援歌』『分別奮闘記』等があるが、むしろ僕は『firefly』の”おいてけぼりの空っぽを主役にしたまま 次のページへ”の歌詞に続く、彼の思いが再び綴られた部分でもあると思う。

消した思い出は透明のままでも物語は進む、それは、自分だけの物語ではないから。得られた空白はそのままで、与えられたキズは消えないまま、それでも”パレードは続く”すべては進んでいくのだと。どうしようもない、圧迫感や焦燥感を蹴りとばすように、悲しくもポジティブなビートが打ち鳴らされ、この曲で最も煌びやかでスピード感のあるラストへ突き抜ける。

”心だけが世界”という歌詞からは、信じるは自分の心の中にあると言ってるよう。
ほんとのこと、きっとそれはあなたにもあるのだ。