安藤裕子『レガート』 | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
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連続する2つの音を途切れさせずに滑らかに続けて演奏することを『レガート』と言う。安藤裕子は途切れない2人の絆をこのタイトルにかけたのだろう。曲調的には、ドライでライトな安藤が戻ってきた印象を受ける。

『JAPANESE POP』というシリアスな面を突き詰めた、金字塔的な作品以降の作品は、その余韻をほのかに感じるものであったが、本曲は彼女の無邪気な明るさが再び滲み出ていて、歌の色彩もよりポップに感じることができる。

ただ、これを聴いて強く感じるのは、リスナーを試していないということ。つまり、変化球ではなく、愛しいという思いを直球な歌で投げていることだ。最も今の彼女らしいのは“色づく木々と色めく花よ 時を止めずに回り続けろよ”という歌詞。幸せな瞬間を普通なら、時が止まってほしいというだろう、しかし、光と闇の存在を経た上に、真実があるとこの曲は教えてくれるのだ。何かが終わったとしてもまた新しく“萌えて”いくのだと。