赤い公園『サイダー』 | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
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メロディアスなギターの音が鳴った瞬間、恋と青春が混ざり合い、弾け飛ぶようなポップ感が走り出す。赤い公園はアイコンとしての強い自己主張と、キュートな佇まいを持っている。ガールズ・バンドの王道なあり方をすべて踏襲していると言っていい。津野米咲のポップセンスがいかんなく発揮された楽曲と佐藤千明の歌との絡みが特徴だ。女性バンドはどちらに転んでも、ボーカルの声の持つ力が、音世界を左右してしまうことが多い。佐藤の声はどちらかと言えば、ガールっぽくない色彩を持っている、つまりオトナな質感を感じてしまうのだ。それは、ポップっぽさを追求する点においてはアンマッチングではないかと思うが、そこに津野のメロディが追随することでおかしなマジックがかかるのだ。この『サイダー』のようなポップのストライクに入る曲であればあるほど、佐藤の歌声の気品さにジューシーさがプラスされる有様。この科学反応こそ赤い公園の魅力である。