クリープハイプ『エロ』 | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
音楽ブログです。更新不定期。

エロと疾走感は比例するのかもしれない。メジャーシーンでシングル曲にエロというタイトルをつけるバカが何処にいるだろう。オブラートに包みきれない怪しさとポップで爽快感のあるメロディーが混ざることにより、スタンダードなロックへと昇華していく。彼らはサザンオールスターズでも目指すつもりなのか。

でも、やっぱりロックには小さじ少々のいかがわしさが必要で、確かに、メインストリームにはそういうバンドはいなくなった。その責務を背負うバンドが現れたのかもしれない。夏と儚さと今。青春のフラッシュバックとリンクするリズムは、いにしえのロックの持っていた、性と死を想起させる。

”今日は明日昨日になるんだから もうやる事やろよ”瞬間に過ぎ去る季節の哀愁と永遠に続く喪失感。そんな感情をポップミュージックの力を借りて、絶妙なハイプ感を作り出すのが彼らの持ち味だろう。作り物の魔法が時として、僕らを勇気付けることもあるのだ。