海を見下ろすホテルのカフェにいる。
綺麗な海で、青を基調としたグラーデションの染め分けが肌理細かい。
そこで園まりさんの訃報に接する。
アーリーシックスティーズー昭和30年代の後半、辻堂海岸にあった母方の叔母の家で一夏過ごした。
海沿いで平屋建ての芝生の庭がひろい家だった。
門前の道は未舗装で車が通ると、赤土の埃が立ち籠めた。
スパーク三人娘ー中尾ミエ・伊東ゆかり・園まりさんーが、ブレイクしたのはそのころだった。
弘田三枝子さんが、ひとりで三人と対峙していた。
桑田佳祐さんの最大の強みは、この時勢の湘南の海辺を、失われた時として半永久にも記憶にとどめていることだ。
まだ人影の疎な静かな海沿いの町町である。
アーリーシックスティーズが翳り、霞み、やがて残光さえも消滅してゆく…