「ドラマ未解決事件・下山事件」ー79年つづく癒着を今年断ち切れ! | あずき年代記

あずき年代記

ブログの恥はかき捨てかな…

録画していたNHKのドラマ「未解決事件・下山事件」を先日観た。


1949年(昭和24年)7月、当時の国鉄(初代)総裁・下山定則氏が、常磐線北千住・綾瀬間で轢死するという事件が起きた。


この時期、アメリカの対日戦略は1945年8月下旬から180度転換、日本を対ソ聯(ロシア)のための前線基地とするために反共路線を推し進めていた。


その一環として、下山総裁は国鉄職員10万人のリストラを迫られていた。


そのさなかでの怪死である。


10万ものリストラが求められたのは悪性インフレによる戦後不況が背景にあるからだが、共産党の強い国鉄に圧力を加えたいという日米為政者たちの意図も働いている。


他殺か自殺か、事件発覚当初から議論は割れたが、NHKのドラマは他殺説を取っていた。


下山総裁を殺害したのはGHQの特務機関、キャノン機関である。国鉄総裁殺害まで企てたのは容疑を共産党に向けたいからである。


ドラマの主役は布施という検事で、森山未來さんが演じている。


ドラマ内冒頭の時制は、1976年7月下旬。

田中角栄元首相逮捕の日だ。

布施は検事総長に昇り詰めているが、森山さん演じる初老の布施は無表情のなかに苦さを滲ませている。


というのも、下山事件とロッキード事件の構造が日米癒着によることを知り抜いているからである。


ドラマのなかでは下山事件のときにも、フィクサー児玉誉士夫が関与したことが踏み込んで描かれ、このことを知らなかったわたしは驚いた。


児玉誉士夫はロッキード事件のときにも関与が疑われ、しかし入院によって証人喚問を逃れた。


下山事件の前年、1948年=昭和23年暮れに東條英機以下のA級戦犯たちが処刑される。


が、その日に巣鴨プリズンから釈放されたA級戦犯たちもいる。


岸信介・児玉誉士夫・笹川良一らである。


この3人が1968年に結成したのが勝共連合=統一教会である。


当時統一教会の本部は、渋谷の南平台つまり岸信介自宅の隣にあった。


上記3人の影響力はいまも根強い。


その典型が安倍晋三元首相だったが、児玉誉士夫の息子はTBSの関連会社社長をつとめ、笹川良一の息子は日本財団のトップとして、すなわちフィクサーを継承している。


これが日本会議に代表される政治家たちとの、文字どおり腐れ縁の淵源である。


NHKのドラマは想像していた以上に反米的というか、松本清張路線継承だと感じたが、それだけ安倍晋三・菅義偉ラインの弾圧に苦しめられた反動だろうとわたしは解釈した。


また布施検事が苦悩するリアリストの善玉として描かれていることに異和を覚えもした。


日本の司法はリアルポリティクスに対してもっと妥協的だろうからである。


とはいえ、下山事件からロッキード事件まで渦中のひとであった検事の割切れなさは本物であろうともおもった。


そのあたりの鬱屈を、森山未來さんは料簡に消化して演じていた。


古今亭志ん生・金原亭馬生・古今亭志ん朝をひとりで演じ分けられたひとだ。


戦前から戦後の、切れる官僚的インテリの匂いを、夥しく口にする煙草の煙のように自然に吐き出すことに成功していた。


さて、世相の潮目はすこしずつ、変わってきている。


フーコーの振り子は右に振り切れるところまで振り切った。


そろそろ左へ戻す時期がきている。

そうでないと孫たちが徴兵されるような世が回帰してくる。


そんな未来を子孫に渡すのは罪悪である。


実際、小学校6年の孫は下がりつづける賃金や上がりつづける物価に怯えている。


現都知事の教育無償化に騙されてはいけない。

どうでもいいプロジェクション・マッピングに48億もの税金をぶちこんでいるのだから…