1日1杯飲むだけで、乳がんリスクが7~10%上昇 | 加藤 豪(Go Kato)

加藤 豪(Go Kato)

1人でも多くの人が救われるように、聖書の福音を述べ伝えています。

 医学界の赤ワインに対する見方は、卵に対する見方と似ています。ある年の研究では健康に良いと主張され、次の年の研究では正反対のことが述べられるという矛盾があるからです。

 

 さて、最新のワイン研究は、いくつかの歓迎されないニュースをもたらしました。それは、ワインを含む酒類が乳がんの発症に関与しているという、しばらくの間多くの人が恐れてきたことを裏付けるものです。

 

●乳がん増加の隠れた原因は酒類?

 乳がんは、毎年200万人以上が新たに罹患し、世界中の女性の死亡原因のトップとなっています。衝撃的なことに、酒類はしばしば社会的な嗜好品と考えられていますが、乳がんにつながる腫瘍の半分に寄与しているのです。酒類は、エタノール代謝によって乳腺腫瘍の成長を促進する薬物であることを覚えておく必要があります。

 

 飲酒は、世界全体で年間300万人の死亡に関与しており、死亡者全体の5%強を占めています。さらに、栄養不足、周産期合併症、妊産婦の健康問題、感染症など、さまざまな健康問題の重大な危険因子でもあります。さらに問題なのは、1日わずか10~15gの飲酒で乳がんのリスクが高まることです。 ヨーロッパの女性だけでも、年間8万人のがん死亡が飲酒に起因すると推定されています。

 

 状況は年々悪化しており、1990年から2017年の間に1.7倍に急増した酒類関連乳がん症例を見ても明らかです。この間、飲酒に関連した乳がん死亡者数は44,200人から56,800人に増加しています。

 

●グラス1杯のワインが乳がんリスクを高める?

 45,350例の乳がん症例に及ぶコホート研究のメタ分析によると、1日に1杯の飲酒をする女性は、乳がんと診断される可能性が7%から10%高いことが明らかになりました。 1日に2~3杯飲酒すると、乳がんと診断される可能性は20%に増加します。

具体的には、1日10gの酒類を飲むだけで、がんのリスクはなんと10.5%も高まるのです。 また、1日10gのワインを飲むと、がんのリスクは8.9%上昇します。 閉経後の女性で1日10gの酒類を飲むと、がんのリスクは11.1%上昇しています。

 

●飲酒が、がんを引き起こすメカニズム

 ワインやその他の酒類に含まれる無色の液体であるエタノールは、赤ワインや白ワインに含まれる最も一般的な揮発性化合物です。 エタノールの代謝には2段階あり、初期段階ではアセトアルデヒドが主要代謝物として生成され、その後の段階では酢酸が生成されます。しかし、人それぞれの体質によって、エタノールは独自の方法で代謝されます。

 

 乳がんと診断された315人の女性を対象とした研究で、ADH1C*1と呼ばれる対立遺伝子のコピーが2つある人ほど乳がんの可能性が高いことが明らかになったことは興味深いと言えます。対立遺伝子とは、両親から受け継いだ遺伝子のコピーで、遺伝子座と呼ばれる染色体の特定の部分に存在します。

さらに、閉経前の女性でADH1C*1ホモ接合体を持つ人は、酒類を大量に摂取する人よりも、中程度の量しか摂取しない人よりも乳がんのリスクが高かったのです。さらに、ホモ接合型ADH1C*1を持つ閉経前の女性は、飲酒量が多い人は、飲酒量が中程度の女性に比べて乳がんのリスクが高かったのです。

 

●乳がんと診断される可能性を減らす

 酒類を完全に断つことは、乳がんの予防だけでなく、他のがんのリスク軽減にも大きく貢献します。 毎晩の酒類を、ノンアルコールのビールやワイン、コンブチャ、お茶、炭酸水などに代えることで、健康を改善することができます。

 

 酒類を控えるだけでなく、健康的でオーガニックな食生活を維持し、定期的に運動して活動的に過ごすことは、がんのリスクを下げるために極めて重要です。加工肉や甘いお菓子を避け、植物性食品、全粒穀物、赤身のタンパク質、健康的な脂肪に重点を置きましょう。

 

 アブラナ科の野菜、ベリー類、脂肪分の多い魚、全粒穀物なども乳がんのリスクをさらに減らすために有効です。 自転車、ランニング(キロ6分台から7分台位のペースで)、テニス、ピックルボールなどの運動も効果的ですが、毎日20分歩くだけでも違います。