幻想映画館 | 独書感想文

独書感想文

読んだ本をちまちま書いていく、個人的な感想文です。


著者は堀川アサコさん。
以前の感想文に書いた、『幻想郵便局』の、姉妹編。
どうやら、『幻想シリーズ』という位置付けのようですね。
やっぱり、シリーズってあると、気になってしまうんですよねぇ。
と、手に取りました。

うん!期待していたとおり!
名前こそ出てこないけど、冒頭ですでに、郵便局の人であろうあのお方が会話の中に出てきます。
そう、私の好きな、あの人!
これはもしや、やはり、人気のあるキャラなのかしら?なんて。
ちょいちょい出てくるから、嬉しくなっちゃいました。
そして、またまたサラッと出てきた、真理子さん。
おなじみの方々が出てくると、つい、あのお話の主人公だったアズサちゃんは今頃何を…なんて想いを馳せてしまいますが、
いやいや想いを馳せている場合ではありません。

このお話の主人公は、お嬢様育ちのおっとりした、しかし変わった高校生の女の子、楠本スミレちゃん。
何が変わってるって、1人シリトリが趣味(?)で、いやそれよりも、幽霊が見えてしまうということ。
そして、それをうっかり、入学早々自己紹介で言ってしまったものだから、まぁ、色々あってクラスから省かれてしまうわけですね。
そして、学校行かずにブラブラしていると、なんと父親の浮気現場を目撃。さらに、尾行し、身を隠す為に隠れた先で、お客さんと間違えられてしまう。
そこが、この話の舞台でもある、映画館、『ゲルマ電氣館』なんですね。
ここがまたいわく付き…そう、あの郵便局と同様、生と死の間にある場所なんですね。

そしてなんやかんやあり、ここでアルバイトをすることになった訳ですが…。
そこの従業員は、ダリ風の髭を生やしたナイスな支配人と、なんと!支配人の恋人としてご登場、真理子さん。そして、主人公のスミレちゃんが一目惚れし、私も絶対好みであろう顔面の、有働さん。
スミレちゃん、私も一重まぶたのスッとした顔、好きですわよ(いらぬ情報)
スミレちゃんのバイトを始める理由も、この有働さんと一緒にいたいという、なんとも純粋で単純明快な理由。そして高校生らしいですね。

しかしスミレちゃんの名字、楠本。あれ?楠本…楠本…
そう、あの、『幻想郵便局』でも出てきた楠本グループの親戚なのです。
当然、お馴染みの大奥様ご登場。(前の感想文には、この方について触れてなかったですね、すみません)
この人も、私好きだったんです。

お話自体はですね、もう、伏線伏線。
前作同様、二つ、三つの出来事がポンポンと出てきて平行に進み、最終的には一つになります。
それはもう、お話の冒頭からスタートしてるんですよね。
最終的には猟奇的な展開に…。

しかし、前も思いましたけど、非常に文章が読みやすい気がします。
私、こうして ちょろちょろと本を読んでいるだけなので、活字慣れしているわけじゃないんですよ。
その私が、凄い早さで読み終えてしまったので、なんとも不思議な…。
きっと、スミレちゃん視点で、語り口調で進んで行くので、シリアスな場面でも割りかし面白おかしく進むことができたんでしょうね。
登場人物も、割と皆自由奔放なのですが、暖かいんですよね。

ラストはですね、正直私としては、え!?という感じになってしまいました。
いえ、ほっこり、平和に終わるんです。終わるんですけど…え!?なんです。。。
さ…寂しい…。でもそこでも、やはり、小さな所ですが、前作と繋がっています。うんうん。

これからも、どんどんシリーズが出て行くそうで、お馴染みの面々が登場してくれる模様。楽しみ!
楽しみだけど、その、ね、この話のラストで…寂しくなってしまった訳で。

しかし、ゆるーく、このシリーズを追いかけて行きたいと思いますっ。