幻想郵便局 | 独書感想文

独書感想文

読んだ本をちまちま書いていく、個人的な感想文です。



 『コザルね、とわたしを見上げてカラスが云った』

堀川アサコさんの本、幻想郵便局は、この文章で始まります。
ほっこり、のほほんとした本を読みたくて、手にした本です。
郵便局ののほほんとした、でも少し不思議な日常のお話だと思って読み始めましたが、ところがどっこい。
このお話は、生と死のお話だったんですねぇ。
ついこの間まで、そういった環境で仕事していた私にとって、まさかの題材でして。つい、あれ!?って思っちゃいました。笑

このお話は、探し物を見つけるのが得意な女の子、アズサが就活の波に乗り切れなかったところ、ひとつの職場から声がかかります。
その名も、『登天郵便局』。
そこから、次々と不可思議な事が、アズサの身の回りで起きていきます。
最初こそ平和な感じで始まりますが、どんどんと雲行きが怪しくなってきます。

登天郵便局の職員は4名。
局長の赤井さん、オネェの青木さん、郵便局内ではあまり姿を見せない鬼塚さん、そして優しいおじいさんの登天さん。
皆各々、個性豊かなキャラクターで、私は特に青木さんと登天さんが好きです。
主人公のアズサちゃんもまた、親しみやすくて、良い子で可愛いんですよねぇ。

また、序盤から登場する、ヘップサンダルを履いた美女、真理子さんが、もう、ね、最初こそ、不気味でしたけど、とても優しいんですよね。
そんな個性豊かな登場人物の各々の正体が、最後にはわかってくるんですねぇ。
また、話も二つの出来事が同時進行で進んで行き、読み進めるのが楽しいです。

ほっこり平和な本を読みたかった私ですが、
少し形は違ったとはいえ、結局は読み終わった後、ほっこりしちゃいました。
そして少し涙しました。

この本の後に、幻想映画館(幻想電気館)が出たそうですねぇ。
気になる。
今度読んでみようかしら~。