奇天烈な店 | 独書感想文

独書感想文

読んだ本をちまちま書いていく、個人的な感想文です。



著者は松村友視さん。
舞台は東京某所にある、鮨屋さん。
が、その舞台の鮨屋さんが変わっています。
暖簾はいつも内側にあり、入りにくい雰囲気な上に、いざ勇気を振り絞り中に入ると、「今日は予約が…」とかなんとか店主に言われ、入れない。
実はこの店主、人見知りで、一見さんはお断りなんだとか。
主な登場人物は、その店主の、親方。そして常連客の源さん、鈴木さん。
話はこの3人の会話で進んでいきます。

もう、ね、この3人のおっさん達が可愛くて可愛くて…。
何が魅力って、この、店主である、親方。
親方が出す料理が、すこぶる美味しそうなのですが、この親方のモットーは、魚の部位を全て使うこと。
そのため、源さんと鈴木さんからは“医者”と揶揄されます。
脳みそ、眼球の筋…て、食べたことないから、どうなんだろ…。親方の手にかかると、全て美味しくなって出てきます。もちろん、普通の部分も、美味しそうなんです。
そこに出てくる  煎り塩と刻んだニンニクを乗せた大トロや、親方流のタラの白子などなど…読んでいてお腹が空いてきました。
そして、実際に魚が食べたくなってきてしまいます。
あと、そんな暖かい、こじんまりとしたお店の常連さんが、羨ましくなって、ついそういったお店に行きたくなります。

物語自体の最後は、私としては寂しい展開で幕を閉じます。
このままワイワイ3人で終わると思っていたので。いや、まぁ、実際にワイワイ3人で終わるわけですが…。

ちなみに、この魅力的なお店、実在するんです。
凄く行ってみたい。行けない距離じゃないから凄く行ってみたい。
けどきっと、勇気を振り絞って中に入ったところで、断られちゃうんだろうなぁ。
そこで、現実と架空の世界が混在してしまうんですよねぇ。
源さん達は、どのようにして常連になったのだろう?
この部分の描写がないので、想像を掻き立てられます。
そこも、この作品の魅力かもしれません。


話とは関係ないけど、今日東京は雪です。

うきうき\(^o^)/