今年も北極海航路は開通する見込み
onkimoさんのブログに触発されて、久しぶりの更新は北極海についてです。
北極海の海氷が急激に減少していることは過去に何度か書いてきました(これやこれ)。その後もこの傾向は変わらず、今年も海氷面積・海氷体積ともに過去最低を更新したりそれに迫る値になりそうです。
北極海の海氷が急激に減少していることは過去に何度か書いてきました(これやこれ)。その後もこの傾向は変わらず、今年も海氷面積・海氷体積ともに過去最低を更新したりそれに迫る値になりそうです。
図1:北極海海氷の面積(上図)および体積(下図)の推移。面積はNSIDC、体積はPIOMASのHPより。
さて、北極海の海氷の減少は、地政学的に重要な意味を持っています。これまで船が航行できなかった北極海が、夏から秋に限られるとは言え航行可能になるのです。
日本からヨーロッパに船で貨物を運ぶ場合、これまではスエズ運河経由が最短経路でした。しかし、最短とはいえ、例えば横浜-ロンドン間の航行距離は約2万kmに達します(しかも、お世辞にも治安がいいとは言えないルート)。これが北極海航路(北東航路)になると、航行距離は約1万3千kmにまで縮小されます。このインパクトは計り知れません。
2006年、おそらく有史以降初めて、北東航路が開通しました。そして2008年、北東航路・北西航路の両方が開通。2010・2011年も両方の航路が開通し、2012年も両航路が開通すると予想されています。もはや北極海航路がほぼ毎年開通することは確実でしょう。開通している期間もどんどん長くなっていきます。
各国はこれを見越して北極海航路の調査や権益確保に向けて行動しています。ロシア・カナダ・アメリカ・スカンジナビア諸国など北極海に直接面する国は当然熱心ですし、中国も黙ってはいません。日本では国家もですが、北海道という地方自治体レベルでも動きが始まっています。北極海に眠る膨大な資源もあり、資源争奪戦の様相も示しつつあります。
もはや気候変動とそれに伴う海氷減少は規定の事実であり、世界各国はその前提の下に国家戦略を組み立てていることが、端的に現れているのです。
日本からヨーロッパに船で貨物を運ぶ場合、これまではスエズ運河経由が最短経路でした。しかし、最短とはいえ、例えば横浜-ロンドン間の航行距離は約2万kmに達します(しかも、お世辞にも治安がいいとは言えないルート)。これが北極海航路(北東航路)になると、航行距離は約1万3千kmにまで縮小されます。このインパクトは計り知れません。
図2:北極海航路のうち北東航路(赤)と、スエズ運河航路(青)。wikipediaより。北西航路は北極海のアラスカ沖からバフィン湾にかけてを通る。
2006年、おそらく有史以降初めて、北東航路が開通しました。そして2008年、北東航路・北西航路の両方が開通。2010・2011年も両方の航路が開通し、2012年も両航路が開通すると予想されています。もはや北極海航路がほぼ毎年開通することは確実でしょう。開通している期間もどんどん長くなっていきます。
各国はこれを見越して北極海航路の調査や権益確保に向けて行動しています。ロシア・カナダ・アメリカ・スカンジナビア諸国など北極海に直接面する国は当然熱心ですし、中国も黙ってはいません。日本では国家もですが、北海道という地方自治体レベルでも動きが始まっています。北極海に眠る膨大な資源もあり、資源争奪戦の様相も示しつつあります。
もはや気候変動とそれに伴う海氷減少は規定の事実であり、世界各国はその前提の下に国家戦略を組み立てていることが、端的に現れているのです。