氷床が暗くなる | さまようブログ

氷床が暗くなる

 北極・南極に存在する氷は太陽光を強く反射するため、太陽から地球に入射するエネルギーに大きな影響を与えます。
 ところが、このうちグリーンランドに存在する氷床が、近年だんだん暗くなっているという報告がありました。太陽光反射する能力が、低下しているというのです。このことは、地球のアルベドを変化させるのみならず、氷の融解を加速させる原因となり、二重の意味で深刻です。 


2000~2006年と比較した2011年のグリーンランド氷床の太陽光反射率。ほぼ全域で太陽光反射率は低下しており、特に融解が進んでいる周縁部で顕著。NOAA HPより。 

 なぜ氷床が暗くなっているのでしょう?報告によると、以下の3つの原因が指摘されています。
・氷が溶けて各地に「池」ができる。池は氷床に比べると反射率が低く、暗く見える。
・氷の融解に伴い、ダストを含む氷の面が露出する。
・氷が溶けるほどの温度ではないグリーンランド中央部においても、気温上昇は見られる。気温上昇により氷床の表面を覆う氷晶の形が崩れ、これがアルベドの低下をもたたしている。
 なるほど、過去に紹介したようにグリーンランド氷床の融解は予想以上の速度で進行していますが、これもその一因なのかもしれません。
とはいえ、氷のアルベド観測はあまりデータの蓄積がなく、観測を積み上げる必要がありそうです。 


 
 
 グリーンランド氷床反射率の経時変化。バード極地研究所HPより。