劇的☆爽怪人間

『ロケット流星群』観劇。


①「劇評」では無く「感想」なので、
良いも悪いも感じた通りに素直に感想を書く
②偉そうな事や知った風な事は絶対に書かない
③感想文は作品内容についても触れる

上記3点のルールに従って、感想。



舞台は下町ロケットさながら。

町工場の息子で元気で無邪気で真っ直ぐ熱い
男の子と、その幼馴染で片親だけど真面目で
一見冷たいけれど優秀で心優しい男の子。

そんな2人がそれぞれ大人になり、
それぞれ悩みを抱えながらも成長し再会し、
同じ目標に向かって幼い頃の様に
協力し合いながら夢を叶える。

そんな真っ直ぐでどストレートな熱いお話し。



久しぶりのウイングフィールドは受付でも劇場入り口でもアルコール消毒を徹底したりと感染症対策もキッチリと。

5Fの喫煙所が閉鎖されてたのは個人的には
かなりショック!!


で、劇場へ。
劇場に入ってまず驚いたのは美術さんの半端じゃない技術力の高さ。クオリティ高過ぎでしょ。
パンフレットによると竹腰かなこさんと言う方。存じ上げ無かったけれど、どうやらかなり有名な方らしい。どうりで…(恐るべし)。


前説。
色んな団体さんが皆さん様々な工夫を凝らして
行われる事が多いけれども、爽快さん(勝手に略)は作中の登場人物設定を踏襲している印象。
いよいよ始まるぞって感じ(当たり前)。



作品全体について。
熱いお話しは嫌いじゃない。
自分自身絶対に描けない世界観だし多くの人の
心を打つ作品ってのは本当に眩しくて素敵。

だからこそ本当に難しいよね。
と云うのが一番感じた事。



バランスが絶妙に合っていない。
役者さんの演技の質なのか演出的な問題なのか、その両方なのか、はたまた敢えてそうしているのか結局判断は付かなかったけれど、熱量が上手く届いて来なかった。


熱く真っ直ぐな作品ってのはやっぱり
観る人の心を打ったり動かしてこそだと思う。

だけど演劇(今作)はあくまでも
フィクションである。

そのフィクションをライトに見せる手法も
勿論あってもいいとは思うけれど…



先ずもって、
主人公2人以外の登場人物のキャラクター設定や台詞に重さが感じられ無くて、どうしても薄く感じてしまった。

そのせいで主人公達の行動にもいまいち
感情移入が出来ない。

たぶんこう言った作品で一番気を配らないといけないのは、主人公達の行動が彼らを取り巻く周りの環境のどんな作用によってどう左右されて行くのかって事だと思うし、
そこに観てる人は心打たれたり動かされたりするんじゃないかな?って思うから、実は主人公の決意や決断なんてものはオマケに過ぎないんじゃないのかな?とも思う。


勿論、全てを積み重ねた上で最後にカッコイイ
のは主人公であるべきだけどね。
お2人ともイケメンで爽やかだったし。


作品展開的に必要な事しか喋らないのに、
必要じゃない要素(キャラ設定や挙動や台詞)は
やたら多い。と言うとんちの様な言い回しが
頭をよぎった。


主人公の2人については
「そこで生きてそこで生活している人」
と云う感じがもう少し欲しかった。

作品世界の中で自然に生きている人ってのが
一番フィクションをフィクションから遠ざけ
られる演劇の素晴らしさだとも思うから、
最後まで舞台が舞台であった事がちょっと残念
だった。

「作中で生きている人の様に自然に舞台上に居る」ってのは多分ちょっとでも嘘があったらいけない事だからホントに難しい。

でも主演のお2人ならやってのけてくれる気もした。それぐらいの気概も感じたし。




生演奏について。
美しい音楽ってのはホントに美しい(当たり前)。劇的な作用としては正直もうちょっとここぞ!
って時にだけ合ってもいいのかな?
とも思ったけれど、
逆に違和感無くシーンに溶け込んでた所も
合ったので素晴らしかった。



作品について。
演出的なダイナミズムと作品の持つダイナミックな展開の絶頂点(積み重ねた上での爆破ポイント)
がちょっとズレていた印象。

ココ!いまココで押し切って!

って瞬間に爆発力が弱い所が幾つかあって、
んー!!ってなった。




爽快さんについて。
学生時代に幾つか賞を受賞されていたり、
現在は社会人劇団さんらしかったり、
(ウイングラジオ情報)と、
きっと皆さん本当に演劇を愛して
大切にされていらっしゃるんだろうなぁ。
と言う印象で本当に素敵。

熱いお芝居ってのは演ろうと思って出来るもんでも無いし、人生も演劇も斜に構え過ぎて捻じ曲がってしまった自分からしてみたら本当に眩し過ぎて羨ましい。



ロケット流星群、ぜひとも再演を実現して
多くの皆さまに届けて欲しい。


当選して頂けた事に感謝しつつ。
観に行けて本当に良かった。