さすらいさんちの話  11/24 | 武蔵野舟木組 2024

武蔵野舟木組 2024

               さすらい

 

 

今年は秋が無かった。というが、今頃になって秋らしさが見えてくる。

イチョウの色付きが遅かったが、あちらこちらで黄色い葉を見られるようになった。ただ、今年は秋の虫の音を聴く事が無かった気がする。

 

その原因を、今、気が付いた。

夏ごろからデスクの上に、空気清浄機を置いて、窓を開けて煙草の煙を追い出しているのだが、この空気清浄機の音で聞こえなかったようだ。静音にすれば良いのだが強力な煙の排出を行うために「強」にしているのが原因だ。ただただ、これで外の音が聞こえなかっただけかも知れない。

 

煙草といえば、舟木さんの古い動画を見ていると、対談でもバラエティーでも舟木さんが煙草を吸っている場面が良く出てくる。今の様な禁煙の規制もないし、喫煙者も多かったから、平気でテレビの番組の中で、吸う人の姿が見られる。

 

さらに顕著なのが、1950年代から70年代にかけての映画では、必ず煙草を吸うシーンが出る。

考えてみれば、60年代前半までは、映画館の中でも煙草が吸えた。

煙草の煙で、映写室からスクリーンまで、放射線状に帯が出来ていたものだ。それを考えると懐かしく思う。60年代の後半になると、映画館の劇場内での喫煙が禁止された。

 

消防法により喫煙すると3000円の罰金。と言うような場内放送が有ったり、スライドが流れたりした。入場の際に貰うチラシにも、その様な事が書かれていた。

これは今と違って「消防法」によるものであって、副流煙による健康を害すると言うものとは違っていた。現在の煙草には、喫煙による危険性が、パッケージに大きく書かれている。それなら「売るな」と言う事なのだが、どうも矛盾している。

 

映画と煙草は、切っても切れない関係でもある。

それは時間経過を表す映画の単純なテクニックでもあった。犯人追う刑事が、待ち伏せする時には、道路に幾つかの吸い殻が捨てられていたり、待ち合わせの時間経過も煙草の吸殻で表したりした。ここ数日見ている日活映画で、煙草のシーンが出てこない事がないほどだ。

 

また違った見方をすると、50年代はマッチでタバコの火を点ける。そのマッチが何処の店のマッチかで、ヒントになったりする。それでも大きな徳用マッチなどは出てこない。飲み屋でも喫茶店でも、宣伝とお客へのサービスでマッチを出すのは当たり前だった。

 

高級感を出す為にはライターが使われる。それも当時はオイルライターであり、洋画ではシッポ―などが使われている。それから年月が経つと、今度はガスライターになり、ダンヒルなどが出てくる。そしてさらに進むと、電子ライターになり100円ガスライターになるが、流石に100円ガスライターを使った映画はあまり記憶にない。

 

そして現代になり、煙草のシーンが無くなった。

喫煙者には厳しい世の中になった。名匠、市川崑監督は、常に煙草をくわえていた。煙草を挟むために、歯を一本抜いて挟んでいたというのも有名な話だ。

 

ちなみに、さすらいが映画製作の仕事を始めた頃は、監督用の灰皿を、缶ピースの缶で作って、腰に下げ、監督が煙草を吸い始めると、腰から外して差し出したものだった。

懐かしい、村山三男監督の事を思い出した。