舟木一夫の世界 スポニチアネックス 2021.11.25~11.26 | 武蔵野舟木組 2024

武蔵野舟木組 2024

               さすらい

 【牧 元一の孤人焦点】 2021.11.25

舞台で「空間をさばく」

歌手の舟木一夫(76)が12月3日から東京・新橋演舞場で特別公演を行う。舞台「壬生義士伝」とシアターコンサートの2部構成。「壬生義士伝」は浅田次郎氏(69)の小説が原作で、女優の高橋惠子(66)、俳2021.優の田村亮(75)らと共演する。本番に向けて稽古が続く中、話を聞いた。

 ──舞台で芝居をするのは面白いですか?

 「面白いです。時代劇が大好きですしね。なぜ1カ月公演をやるかと言えば、生でお芝居をお見せするためです。誤解を恐れずに言えば、お芝居が主で、歌の方もお聞かせするという感覚。今はお芝居が90%くらいの感じです」

 ──舞台での芝居はやはり映像での芝居とは違いますか?

 「舞台はロングもなければアップもない。ロングとアップを自分の所作で見せる。それがいちばんの難しさで、それができるようにならないと、舞台でオーラを放つ役者になれない。それは歌い手も同じなんですよ。テレビに出ればカメラが寄ったり引いたりしてくれるけれど、ステージで緞帳が上がれば自分をアップで見てもらうような歌い方をしなくちゃいけない。僕はそれを『空間をさばく』『ステージをさばく』と言います。お芝居も同じところがあります」

 ──あえてうかがいますが、舟木さんは俳優なのですか?

 「お芝居をしている時は役者です。歌っている時は歌い手です。そうじゃなかったら、時代劇には手を出さないです。乱暴な言い方をすれば、歌い手が本当のお芝居に挑戦すると、ずたずたに切られます。なんとか急所を外して死なないように、心臓だけは守りながらやる。僕は黒いアヒルのようなところがあるんです。19歳でNHK大河ドラマ『赤穂浪士』に引っ張り出されて、レギュラーで1カ月公演をやるようになった。いきなり戦場に出て鉄砲の撃ち方を覚えるようなものです。初めのうちは先輩たちの見よう見まねで、自分の非力に気づいて、そこから、たてを手に入れ、やりを手に入れ、やって来ました」

 ──今回はなぜ「壬生義士伝」を選んだのですか?

 「4年前に演舞場で『忠臣蔵』をやりました。大石内蔵助という役どころまで行ってしまって、次にまた時代劇をやるとなると、全く違う景色にしなくちゃいけない。『壬生義士伝』は浅田先生の本が出た時、まさか自分がやることになるなんて思わずに、読んでいたんです。新選組が面白い角度から描かれ、どんな時代でも変わらないものが根底にある」

 ──演じる主人公・吉村貫一郎はどんな人物ですか?

 「特別な人物じゃない。剣に強いけれど、貧しさがあり、家族がある。現代劇のニュアンスの方が伝わるんじゃないかと思います。どこかドキュメンタリーのようなところがあります」

 ──およそ1カ月続く公演は大変でしょう?

 「歌い手にとって最もハードなのは1カ月公演なんです。お芝居でセリフを言って、歌うから、声帯にとても負担がかかる。今、稽古しながら『オレはバカだな』と思ったりもします。でも、そういうバカさも楽しんでいるんですよ」

 なぜ困難なものに挑むのか…。それが面白いからということもあるだろう。サービス精神もあるだろう。しかし、話を聞いて感じたのは、プロとしての覚悟だ。現役を続ける限り、困難を乗り越えながら進んでゆかなければならない。そんな真摯な姿勢が今回の舞台に凝縮されるのだと思う。そして、もう一方の歌の世界は…。(つづく)

 

 

【牧 元一の孤人焦点】 2021.11.26

「高校三年生」は「お客さまの歌」

歌手の舟木一夫(76)が12月3日から東京・新橋演舞場で特別公演を行う。舞台「壬生義士伝」とシアターコンサートの2部構成。コンサートでは、1963年のデビュー曲で大ヒットした「高校三年生」(丘灯至夫さん作詞、遠藤実さん作曲)などの歌唱が期待される。

 ──コンサートにはコロナ禍の社会情勢が反映するものですか?

 「影響されることはないです。僕はステージで『コロナ』という言葉を使ったことがない。お客さまがせっかく劇場やコンサートホールまで来て、いちばん聞きたくない言葉が『コロナ』でしょう。日常と非日常を分ける。僕は常に、非日常の所に立っていなければ、だめなんですよ。現役の間は非日常の存在でいないと」

 ──非日常の中で歌われる「高校三年生」をファンは強く求めていますね。

 「お客さまは『高校三年生』を歌うのが舟木一夫じゃないとだめなんです。これは、上から目線で言っているわけじゃない。流行歌とは、そういうものなんです。『有楽町で逢いましょう』はやはりフランク永井さんの歌で聴きたい。歌い手は、歌の作り手と聞き手のパイプです。年老いて声が半分しか出ないとしても、その人の歌がいい。声がよく出る現役の高校三年生が『高校三年生』を歌ってもだめなんですね」

 ──これまで、どのような思いで「高校三年生」を歌ってきたのですか?

 「大ヒットが出ると、どんな歌い手でも、10年くらいたてば、その歌から離れたいと思うものです。僕も、25歳くらいの時にそう思いました。『オレはこれしかできないわけじゃない』と言いたくなるんです。『これでいい』と思えるようになったのは、50歳近くになってからですね。流行歌の本質が分かったら、意外に納得できた。流行歌は『お客さまの歌』です。『オレはもう、それを歌う年齢じゃない』と言うわけにはいかない。幸か不幸か、『高校三年生』はものすごかった。あの歌は、お化けですから」

 ──お化けですか!?

 「ある世代にとって、青春のかたまりの『世代の歌』ですね。たまたま舟木一夫が歌う側にいただけです。自分の持ち歌という小さな枠で収まる歌じゃない。『ギャラをいただいている手前、私が歌いますね』という感じです」

 ──同じ歌でも時間の経過とともに変わるものですか?

 「ものすごく変わります。僕の思いも変わるけれど、お客さまの思いも変わる。みなさん、滑ったり転んだり泣いたり笑ったりしながら、ここまで歩いてきた。『高校三年生』がヒットしていた時の地球儀と今の地球儀は全く違う。40代は40代なりに、70代は70代なりに変わります」

 ──これからの目標をどのように考えていますか?

 「来月、77歳になります。77歳で1カ月間、生で歌え通せたら、そこで自信がつくと思います。その次の目標が80歳で、そこでコンサートができるようなら、82歳の時の65周年が見えてくる。いきなり5年先にハードルを置いても走れないので、その前に必要なものを一つずつクリアして行きます」

 77歳の歌い手が「高校三年生」を歌う。メルヘンのようでもあるが、ファンはそれにこそ、かけがえのないリアリティーを感じる。とても興味深く、音楽好きの1人として、うらやましい世界だ。77歳はもちろんのこと、82歳の「高校三年生」を聴きたい。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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もうご存知の方も多いかも知れませんが、昨日舟友さんから情報を頂き、仕事帰りに早速売店でスポニチを買うが、残念ながら載っていない。スポニチアネックスはスポーツニッポン新聞社の公式サイトで、どうもサイトでしか載せていなかったようだ。

 

欲しいと思っていた舟木さんの壬生義士伝の写真。昨年作られた新橋演舞場のフライヤーは、舟木さん演じる吉村貫一郎の写真は、真横に倒れている写真で、今一つ絵づらが悪かったので載せにくかったが、今回の凛々しい立ち姿は、やはりカッコ良い。久し振りに舟木さんのインタビューは、舟木さんの生の声を聞いている様に伝わって来る。

 

気が付けば来週はもう舞台の初日の幕が開く。気持ちが忙しくなってきた。

去年は演舞場公演があると言う事で、渡辺謙版の壬生義士伝を見た。テレビドラマだったから、結構細かく描写されていて、少々疲れながら見た記憶があるが、先日は映画版壬生義士伝を見たばかりだ。

 

中井貴一さんが吉村貫一郎を演じ、佐藤浩市さんが斎藤一を演じた。中々良い作品で2004年の日本アカデミー賞作品賞を始め主演男優賞に中井貴一。助演男優賞が佐藤浩市。

 

映画やドラマを見ての今回の舟木さんの舞台の楽しみの一つが舟木さんの盛岡の南部弁だ。朴訥な温かみのある柔らかい言葉は、またきっと舟木さんの魅力を掻き立てる事だろう。殺陣のシーンも数多く有るから、体力的にも厳しい舞台になる。千秋楽まで無事公演が続く事を祈っている。