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とある集まりに時間を間違え、遅参したところに、有名な講談師の師匠が座っていらっしゃいました。もちろん、その方が後日主役にするための準備の集まりであるのです。

 

その方は、珍しくこれまでの半生を語ってくださいました。舞台人、役者を目指して上京して、劇団に入団しました。そして、亡くなった大物女優さんの付き人となりました。女優さんのセリフは一晩で全部覚え、練習の時の代役として、十分な働きができたのですが、演出家より『代役なんだから感情移入しないように、無表情でいいからね』と言われ、愕然とされたそうです。また、ダンスの練習の時、振付師に言われるのだそうです。『もしここに線があるとするだろう。ここから上が西城秀樹とか売れる人たちなんだよ。どんなに練習しても、君はこの線の下なんだよなぁ……。』

それらの言葉にショックを受けたそうです。『私はこのままでは何も認められない』と思って、付き人を辞め、それでも女優を続けながら、講談師の師匠の門をたたき、一時は二足の草鞋を履いていたそうです。それでも、歌にダンスにと練習は続けてきたそうです。

 

講談師の師匠からは、『君の声は大きくて、とても響くいい声をしているよ』と褒められたそうです。話を憶えるのは、他の弟子が憶えるため何回もかかって時間がかかるところを、自分は早く、1回で憶えてきたのでよく褒められたそうです。

 

ある日、舞台での出演が決まり、出演者の看板の1番はかつて付き人をしていたあの大物女優さん。看板の3番目に自分の名前が書かれるようになったそうです。そして、初日の楽屋、大物女優さんの部屋に、大きなバラの花束が届いていたそうです。ところが、その主の女優さんから文句を言われたそうです。『なんで私のところにあんたの花束が届いているの。邪魔だから早く持っていって片付けてちょうだい。』と。差出人を見ると、かつて『君はこの線の下』と言われた振付師の先生だそうです。

 

お礼の電話をかけると、『あなたならこの上まで必ず上がってくると信じていたよ。』と言われたそうです。諦めず、誰にも認められないとしても、いろいろなことに努力をしてきてよかったと、報われた思いをされたそうです。その後は、講談師に専念し、現在があるとのお話しでした。

 

仕事とは、褒めてくれる人と貶(けな)す人がいます。最近は、仕事はほめて伸ばすものと言われていますが、褒めて伸びる人、貶されて伸びる人、いろいろなタイプの人がいますが、良くも悪くも指導してくれる人は、学ぶ人の成長を願って言葉をかけているのだと強く感じます。それを受け取る私たちの側は、どう受け取るかによって、自分の成長が大きく変わってきます。あなたは、どのように受け取るタイプでしょうか……?どんなタイプの人であっても、自分の成長を願ってくれている事、そして言葉をかけ続けてくれる人がいることは、幸せなことではないでしょうか。

 

では、また水曜日。