友人の大物バリトン歌手、大澤建氏(以下サワオ氏)の家に、
真空管アンプを聴きに行く。で、モノラル三昧。
もう来るのは何回目だろう?
ここにはいつも往年の名演奏家の息づかいを感じに来ている。
▲サワオ氏「フフフ、ようこそ!」
部屋に入ると正面にサワオ氏自慢の自作スピーカー。
▲この真空管は、昔(1950年頃?)のドイツの戦車用らしい。
▲数種類のカートリッジ。○万円の針もあります。
お気に入りはモノラル専用「オルトフォンSPUモノ」
▲ハスキルのピアノ、フリッチャイの指揮、
モーツァルトのピアノコンチェルトNr.20。
▲うん、盤の状態はたいへんよろしい。
▲この、「プチッ」と針をおろす瞬間がたまりません。
▲フルニエ(Vc)とバックハウス(pf)のブラームスチェロソナタ
真空管アンプの音には臨場感があり、チェロの独奏など、
まるで目の前に奏者がいて弾いているかのよう。
指が指板を動く様までリアルに感じる。
音自体に伸びがあり、その芳醇な響きは癖になります。
また、数種類の違うメーカーの真空管を入れ替えて音の変化を
楽しむことができ、これは球転がし「チューブ・ローリング」と呼ぶ
らしいが、レコードによって最もそれに合う真空管を選べるわけ。
加えてカートリッジもとなると、いったい何通りの音が存在するのか?
サワオ氏は、これはもはや元の音源を凌駕しているだろうと話す。
▲「様々な方法で自分の好みの音に近付けていく。究極の趣味だね、
フフフ。次はゲルハルト・ヒッシュのドイツリートでも聴くかい?」
ヒッシュの歌唱を、楽譜を追いながら聴くと、音楽に対する誠実さが
ひしひしと伝わってくる。
今の演奏家も素晴らしいけど、なんと言ったらいいのか、この頃の
演奏家は音楽に対するひたむきさ、献身する姿が美しい。
サワオ氏は、真空管から伝わってくるそういった音楽家の息吹を
感じようとしてるんだろうなと思う。
サワオ氏は料理の腕もプロ級。
行くたびにお昼ごはんやお土産をいただくが、そのどれもが絶品!
牛すじカレー最高です。
昨年のマーボー豆腐も独特の香辛料使ってて美味しかった。
今日は鑑賞中にドイツのキルシュヴァッサーもいただいた。
日本には売ってないらしい貴重なもの。
サクランボの蒸留酒らしいが、40度くらいあるので普段酒をあまり
飲まない私はすぐ気持ちよくなってしまった。
でも、不思議なことにすぐ抜けて帰りは普段と変わりなく帰れた。
「フフ、このくらいならすぐ抜けるよ」というサワオ氏の言葉は本当
だった。
あぁ、いい時間だったなぁ。