~安房で活躍する人を応援しています!~
今回は、鯖節を製造している吉田仁一郎さん76歳と、勇二さん45歳の親子です。
―――――――――
◆鯖漁、鯖節加工の歴史
―――――――――
吉田商店は、仁一郎さんが三代目で、次男の勇二さんと共に鯖節・鰹節を製造しています。
大正末期に布良で創業し、先代の正一郎さんが今の宮城に店を移転したそうです。
戦時中は磯根に潜れなかったため、アワビやサザエなどが豊富で、アワビを中華用に加工したりしていましたが、次第に資源が枯渇し、鯖節に転換しました。
昭和30~40年代の最盛期には、安房地域に鯖漁船は大小あわせて70~80隻、鯖節製造者は推測で50~60軒ほどありましたが、今では鯖漁船は冨浦の第一安房丸1隻、鯖節屋は8軒にまで減っています。
原料である鯖の減少と後継者不足によるものだそうです。
長男の智明さんが跡を継ぐつもりで東京農業大学に行きましたが、サラリーマンもしてみたいとアサヒ飲料に就職したところ、ヒット商品を開発したり活躍するようになりました。一方、弟の勇二さんは日本大学で土木の勉強をしていましたが、超就職氷河期で思うような仕事につけず、兄の代わりに家業を継ぐことにしました。
小さい頃から見慣れていたので、特に違和感はなかったそうです。
―――――――――
◆江戸時代からの伝統の「房州節」製造方法
―――――――――
吉田商店では、江戸時代から続く伝統技法「手火山式」(薪をたいてその煙で燻す昔ながらの製法)を守り、全て手作業で行います。
鯖の仕入れは漁期の1~6月。
仕入れた鯖はいったん冷蔵庫に入れられ、翌朝、頭と内臓を取り除きます。
(これらは肥料として再利用されます)
釜で40~50分ほど茹でた後、乾燥させます。
この乾燥は、薪を炊いた上にセイロを8段重ねて、1時間半おきに入れ替えます。
1日4時間半、最低3日間はこれを行います。
その後、倉庫で1~2か月カビ付けをして水分やうまみを凝縮させます。
10月頃まで、少なくとも月1回は天日干しをして仕上げます。
▼職人技の動画が観られます
https://www.youtube.com/watch?v=kuT8kkxGtU8
―――――――――
◆房州節、作業や経営の裏側
―――――――――
鯖節・鰹節は丁寧に保管すれば10年はもつそうです!
昔、海軍がいざという時の非常食として携帯していたと言います。
今、吉田商店では原料で年間30トン程度の生産ですし、自然相手の仕事でもあり、人を雇うことは難しく家族経営です。
また、年のうち60日は朝2~3時頃起きて仕込みを始めるという厳しい仕事でもあります。
漁のない10月からは、道具の手入れなどに費やします。
世界的な健康志向により、海外では小さい魚まで使われるようになっていて、原料入手に苦慮しています。
鰹節・鯖節の生産は、鹿児島、高知、和歌山、静岡などにもあり、房州が北限です。
薪の材料として、以前は桜だけでしたが今は日持ちの良いマテバシイを主に神余地区から仕入れています。この面でも地産地消です。
販売は、年に1度、千倉で共販会が行われ競りにかけられます。
参加する売り手は7軒で20~25トン、買い手はほとんどが東京の問屋さんです。
小売りは大々的にはやっていませんが、個人で電話注文を受けて発送したり、お店に買いに来る人には少量でも販売してくれます。
また、ふるさと納税の返礼品としても、注文が入ったりします。
▼ふるさと納税返礼品
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/12205/741363
―――――――――
◆インタビューを終えて
―――――――――
手間暇かけて丁寧に作られた鯖節は「房州鯖節」としてブランド化されて、和食のプロが指名買いする房総の名品となっています。
量産ができないため、年々、希少性が増しています。
こうした伝統が続いて欲しいと思いますが、そのためには鯖漁の方からもっと盛り返せるように考えていかないといけないですね。
▼吉田商店
館山市宮城280
0470-23-3444
Email:yamasyo@awa.or.jp
★ご自身のコメントをつけてシェアして頂くのも応援につながると思います!
#頑張る人を応援する 文化を作りたい
#地域内経済循環 を進めよう
#安房を一つに #ONEAWA #鯖節 #鰹節