こんにちは!TOOLBOXの室本です。
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2021年3月6日
車種:スバル インプレッサWRX STI
型式:CBA-GRB
年式:平成20年式
作業依頼内容:エンジン異音修理
前回の続きです。
今回はシリンダブロック側の作業ですが…
クランクシャフトまで被害が及んでいて費用がかかりそう
でも、折角お金を掛けるなら
もっとパワーアップしたい
となってきますね。
もちろんタイミング的には丁度良いですし、ケースによっては私もオススメする作業なんですが、
当然、費用はその分高額になってしまうんです
HKSのショートブロックは150万円
TOMEIのショートブロックは110万円
軒並み良い金額です
当店でこのままオーバーホールを進めたとしても、
純正部品でクランク・ピストン・コンロッドを新品で組んだだけでも3〜40万円程度はかかりそうですし、ましてコンプリートエンジンと同様に手を加えていたら80万円近くはかかってしまいそうです
さらに付け加えると、
彼はスポーツ走行をします
そうなるとエンジンへの負荷はもちろん大きくなり、耐久性も要求されます。
もっと言うと、パワーが増えて加速が良くなった結果、
クラッチが滑りやすくなる
クラッチを強化すると、
ミッションが壊れやすくなる
ミッションに強化or対策を施すと、
プロペラシャフト&ドライブシャフトに更なる負担がかかる
まるで”負の連鎖”の様ですね
とはいえパワーアップとはこういった事をバランス良く行う必要があり、モータースポーツで活躍している様な車両ではプライベーターレベルでも
1000万円注ぎ込んだ
なんて話もわりと聞きます。
もちろん、こういった費用は”勝つ為”であり本質的な”性能向上”を目指していますから、
速く走れる
訳ですし、その後のメンテナンスもオイル一つとっても妥協はできず、維持管理にも相当な費用を掛けているものです。
それでも普通の人は、
「パワーが上がってくれればそれだけで良い」
と遠慮をしているのか?勘違いしているのか?ムシのいい事を願ってくるケースは少なくないです
冷静に考えると分かる事ですが、
このクルマ純正のままでもメチャクチャ速いですよ
ましてこの状態でメーカーが出荷しているということは、
メチャクチャ速い状態で耐久性やバランスも考慮している
という事です。
開発費に数億円を掛けているメーカーのテストを侮ってはいけません。
そんな状態で”完成したクルマ”を更にパワーアップする事自体は簡単でしょうけど、
その状態を維持することが大変なんです
もちろん、
「パワーアップしたけど一切そのパワーを使いません」
という人なら問題ないでしょうけど…そんな人いませんよね。
ですので私が想定する限り、
2〜3年おきにエンジンオーバーホール
毎年ミッション交換
ボディはフルスポット増し
なんて事を「当たり前」と言えそうな方でないと、
大幅なパワーアップはオススメできません
(まぁチョット大袈裟ですが…)
という事で本人はチョット残念そうでしたが、
今回はなるべく普通に修理します
とは言え
何か変化点は加えられないか?
チョットでも耐久性は上げられないか?
という事は検討していて、仲間内からの紹介で、
純正部品を流用したコンプリートエンジン(ショートブロック)を入手❗️
このエンジンは、ラリーパーツショップHASという東京のラリーショップが販売しているから入手。
基本的に純正部品で構成されていますが、ラリーなどのハードな使用で培ってきたノウハウで選択されたパーツを組み込んでいるそうで、
耐久性は期待が持てそうです
そしてなにより、
38万円と超破格値なんです
ブロックまで新品となると正直「部品代だけ?」といった金額になってしまいます。
当店で組んだとしてもココまでの金額は出せません
まぁ「安い事が正義」とは思っていませんが、一度もEJを組んだことが無い我々よりノウハウは多いでしょうし、部品代としてみても明らかにお得なのは変わりないです。
馴染みがあるショップではありませんが、今回はこちらの商品を選択してもらいました‼️
早速作業開始です!
葉状を剥がしてエンジンを下見。
どこから見ても新品ですね
前回の作業で修理が終わったシリンダヘッド。
最後に清掃してから組み付けます。
シリンダ壁面には初期かじり防止に「組み付けペースト」を塗布。
ヘッドガスケットはもちろん新品を用います❗️
シリンダヘッドボルトを締め付けてから、カムシャフトを組み付けます。
バルブクリアランスは単体時にある程度合わせてありましたが、ヘッドボルトを締め付けると変化もしますので再度測定しておきます。
カムシャフトオイルシールを組み付けたら、
カムスプロケットを取り付け。
VVTの機構が付いたモデルなので、特殊工具を用いながら慎重に取り付けします。
オイルや冷却水のパイル類も腐食が酷くならないように再塗装しておきました
水平対抗なので同様の作業を左右バンクで行います!
タイミングベルトカバーは再使用するのですが、折角他がキレイになるのでココもスプレーで塗装しておきます
各スプロケットを取り付けます。
タイミングベルトを取り付けます。
水平対抗はベルトが長い為、位置合わせには要注意です
タービンは元々悪かったわけではありませんが、不安要素をなくすためにも新品に交換します。
ココも純正を使用するのですが、レスポンスが良いと言われるスペックC用のボールベアリングターボを流用します
イグニッションコイルとスパークプラグはずっと交換していなかった様なので、今回の作業ついでに新品に交換します
こういった電子パーツは何の予兆も無く壊れますから、可能ならこういった機会にリフレッシュしておきたいですね
エンジンハーネスは再使用しますが、一部保護のためのコルゲートチューブがボロボロになっていました。
手持ちのモノを利用して補修しておきます。
そしてゴムホース類は一式新品に交換です
チョット話は脱線します。
今回のエンジンブローの原因として考えられる
「オイルの偏りによる油圧低下」
ですが、私が思う限りは…
可能性は低いのでは?
と思っています。
写真で見ての通り、オイルパンはかなり深く
まるでバケツです
試しにオイル4Lを想定して水をオイルパンに注入すると…
スレスレですがオイルパン内に収まりました
そして
更にオイルパンの上にこの様なバッフルプレートを設けてあり、オイルの偏りは最小限にされている様に思います。
ただ…
シリンダヘッドからのオイルリターン通路が、
バッフルプレートに影響されない様な配置に開いています
ココもバッフルプレートで覆っておけばよかった様な…
結果的にオイルパンからシリンダヘッドまでの通路はしっかり確保(?)されています
多分、ココの流量を抑えるためにオイルパンに挟む形状のバッフルプレートが市販されているんでしょうね。
とは言えこのバケツの様なオイルパンからオイルが無くなるくらい偏る事ってあるのかな?
どちらにしてもスポーツ走行時は、
油圧に要注意ですね
これでエンジンは完成!
組み上がったエンジンに見惚れてます
いよいよ作業は終盤。
次回は車両にエンジンを載せます!
次回に続く。
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