生命の抜け殻 | アリ塚

アリ塚

アリクイが混沌に導く、アリたちに築かれた秩序

注意一昨日のA山・K山探索で見つけた、虫の死骸ドクロ特集です。ショッキングなものもあり、気分が悪くなる方がいらっしゃるかもしれません。

 

 

本ブログは全年齢対象なので、普段はあまり生き物の死骸を載せないようにしています。しかし、今回は面白い(興味深い)死骸が多かったので、紹介する次第です。また、生存個体に遭えたものもいるので、その予習を兼ねて。

 

生き物の死骸を観察して『何の死骸なのか』『何故死んだのか』を推測するのは、なかなか楽しいです。

 

最初に見付けた死骸はミスジマイマイらしきカタツムリ肉食性昆虫に喰われたものと思われる。

 

普段見るミスジマイマイに比べて殻の色が濃いので「おっ」と思って拾い上げたら、中からは腐臭のする液体がタラリ。そして、たくさんの小さなウジが私の指を這い回りました(写真の白い粒がウジ)。

 

直接的な害はありませんが、このままカメラやスマホ、タオルに触れるわけにはいきませんし、水分補給時に口に入ったら最悪です。すぐに一旦退却して、トイレで手を洗いました。

 

 

次がこれ。ゴキブリである。

 

ひっくり返してみた。胸部がゴツゴツしている。

 

ゴキブリ好きの方ゴキブリ嫌いの方なら察しが付くでしょうが、我々がよく屋内で目にするクロゴキブリとは種類が異なります。これは森林性の大型ゴキブリオオゴキブリです。

 

オオゴキブリは我が県を含むいくつかの県で準絶滅危惧種とされており、ここでは初めて発見しました。死骸は2体、後に生きている個体も発見しましたので、後日紹介します。

 

感激したのがこれ。昆虫の外骨格の吹き溜まりみたいなもの。

 

これはヒキガエルのフンですね。消化できない昆虫の外骨格(主成分はキチン質)が纏めて排泄されます。2年前の夏に、捕獲したヒキガエルのフンのを分解してブログに載せています。

 

 

アオハナムグリ(上)とクロオサムシ(下)の残骸。野生動物のフンからは、周囲の生物相の一端が窺える。

 

これはヤマトタマムシの腹か? クロオサムシヤマトタマムシは、生体も見ることができた(後日紹介)。

 

昆虫病原糸状菌、つまり虫を殺すカビによるもの。鞘翅しか見えないが、被害者はカミキリムシ類だろうか。

 

離れたところ(右)に同じような物体があった。頭部か胸部(あるいはその両方)だと思われる。

 

綺麗にカビたセンノカミキリボーベリア属の菌によるもの。

 

セミタケクモタケで有名な『冬虫夏草』も、昆虫病原糸状菌の一種と言えます。特に明瞭に子実体キノコ)を作るものがそう呼ばれます。昆虫病原糸状菌には宿主特異性(特定の相手にのみ寄生する性質)があり、生物農薬としても用いられています。

 

 

夏の風物詩、ニイニイゼミの死骸。黒とオレンジの模様がゴージャス。

 

アリが集るクマゼミの死骸。

 

断末魔が聞こえそうなアブラゼミの死骸。頭部が無い。

 

セミ類は他にもツクツクボウシヒグラシの声を確認しましたが、死骸はおろか生きている個体を見ることすらできませんでした。

 

 

腹部の無いカブトムシの死骸。少し離れた場所に脚が1本だけあったので、鳥に捕食されたのではなかろうか。

 

こちらのメスのカブトムシにも腹部が無い。こいつぁ、同じ下手人の仕業かもしれねぇな(駒形の新五っぽく)。

 

比較的綺麗なカナブンの死骸。死因は見当も付かない。

 

生きたカブトムシには遭えませんでしたが、死骸は複数ありました。時間を選べば観察や捕獲も容易だと思います。

 

キノコ好きの端くれとして、美しくカビたカミキリムシは欲しかったですが、生憎この日は捕虫網や容器を持参しなかったので、何も持ち帰りませんでした。こういうときに限って、面白い獲物が現れるものです。