ゴクラクハゼが産卵していたことに、昨夜気づきました。オスが巣の中に籠っていたため中をじっくり観てみると、巣の天井(石の裏側)に卵がびっしりと並んでいたのです。
しかし、ライトで照らしながら覗きまくったのがいけなかったのか、今日は卵が減っているように見えます。食卵してしまったのかもしれません。また、卵を守っていたオスも巣の外に出て来てしまっています。残された卵は孵化できるのでしょうか。
石の下の巣と卵の父親。時折ヒレをはためかせ、卵に酸素を送っていた。
巣の天井に産み付けられた卵。ガラス越し・壁際・石の下・穴の中・真っ暗なのでピントが合わない。
卵の写真は碌に撮れなかったので、以下は今日のゴクラクハゼとカワヨシノボリの写真集です。
・ゴクラクハゼ[Rhinogobius giurinus]
吸盤状になった腹鰭で石や壁にくっつく。
体側面のコバルトブルーに光る鱗が美しい。
オスのゴクラクハゼ。メスと比べると、背鰭などに婚姻色(オレンジ色)が出ていることが分かる。
興奮すると喉の下をはじめ全身の色が黒っぽくなるようだ。背鰭と尾鰭を拡げて、口を大きく開けて威嚇する。
・カワヨシノボリ[R. flumineus]
メス。腹の下のフニャフニャは誰かのフン。
婚姻色の強く出たオス。体色は黒く、背鰭や臀鰭の縁が青白く、尾鰭に橙色の斑紋が浮き出るなど、メスに比べるとかなり派手。
他のヨシノボリ類と比較して、胸鰭の軟条数が少ない(15-17or18本)のが特徴。画像の個体は16本。
水槽を覗き込むと、こちらを見上げる。かわいい。
ちなみに、カワヨシとゴクラクハゼの同定・判別については以下の記事で言及しました。
卵が減ってしまったのは残念ですが、このまま孵化しても他の魚に捕食されてしまうでしょう。今後産卵したときの対処を考えなければなりません。他の水槽やビオトープに石ごと卵を隔離するのが良いかもしれません。
ゴクラクハゼは基本的に、生まれたての稚魚が川を下ってしばらく海で暮らし、少し成長すると再び川を上る降海型(こうかいがた)のヨシノボリです。故に繁殖は期待していません。一方で、海と繋がっていない湖沼などでは一生淡水域で暮らす陸封型(りくふうがた)個体群が確認されています。このゴクラクハゼたちは河口に近い水路で捕らえましたが、水槽のように閉鎖された環境では陸封型として適応するかもしれないと思っています。
カワヨシノボリの繁殖を目標としていますが、ゴクラクハゼを陸封化できるかどうかも調査したいです。