ヨシノボリの観察・同定を行います。日本のヨシノボリには少なくとも14種といくつかの亜種・学名未記載種がいます。同定のポイントはやはりいくつかあるのですが、まずは海から遠い山間の小川にいたことや捕獲した地域から海棲のものと汽水棲のもの、そして琵琶湖固有種のビワヨシノボリを除外します。カワヨシ、トウヨシ、オオヨシ、トウカイヨシ、クロヨシ、シマヒレヨシ(ノボリ略)あたりに目星を付けます。
7匹捕まえたヨシノボリ。大小さまざま。
頬の模様は赤い点。
胸鰭(むなびれ)の軟条(なんじょう:節構造のある柔らかい鰭条)は17本。perhaps カワヨシノボリ。
16本。maybe カワヨシノボリ。
17本。probably カワヨシノボリ。
このオスは背鰭(せびれ)にコバルトブルーの斑紋がある。研究者によっては別種扱いされるカワヨシノボリ斑紋型というやつかもしれぬ。
この渋さが日淡(にったん:日本産淡水魚)の良さ。小学生の頃に友人Wから借りたニンテンドー64ソフト『ぬし釣り64』を思い出す(ヨシノボリは登場しないが)。
というわけで、カワヨシノボリ[Rhinogobius flumineus]もしくはその斑紋型であると同定しました。全個体をチェックしたわけではなく幼体もいるので、2~3種が混ざっている可能性もあります。雌雄差や個体差もありますが、やけに黒っぽい個体が1匹います。せっかく東海地方なのでトウカイヨシノボリも見てみたいですが、この辺りにはいなさそうです。
カワヨシノボリなら最大でも10cm未満、淡水のみで繁殖できて餌付けも容易なおすすめ日淡です。人馴れもしやすいのか、エサやり時はもちろん水槽を覗いているときもゾロゾロ前に出てきて、手を突っ込んでも全く逃げません。今のところ喧嘩や共食いもなく餌付けも成功しているので、長期飼育あわよくば繁殖してほしいと思っています。その場合は、卵や稚魚を保護できる環境づくりが必要です。