「死せる魂」(全3巻) | ムル☆まり同盟

「死せる魂」(全3巻)

N.ゴーゴリ, 平井 肇, 横田 瑞穂
死せる魂 上 (1)

前回の人口調査後に死亡したり逃亡したりした農奴の所有権を買い集め、それを担保に大金を借りようと奔走する主人公の詐欺者チチコフ。その姿を通し、当時のロシアが抱えていた様々な問題や腐敗を描き出した作品だ。以前、「ワーキングマザーの日記@モスクワ」Ireneさんが他作品関連の記事へのコメントで題名を挙げてらっしゃった ので興味を持って読んでみた。


ゴーゴリという人の文章は、まるで、長旅の途中でたまたま列車で隣り合わせたおじさんが、長旅の時間を潰すためにひたすら語り続けるみたいに調子で滔々と続く。場景が移ったり、新しい人物が登場するたびに、それについて、つらつらと解説が入るのだ。2ページ、3ページ改行なしで解説が続くこともある。


おかげで、ロシアに住んでいるわけでもなく、当時(19世紀前半)の事情に詳しいわけでもない私でも、臨場感を持って読み進めることができた。非日常的な世界を通して物事を考えてみたい人には、面白い作品なのではないだろうか。


それでもやっぱり。



Ireneさんのように背景知識のわかっている方には、もっと楽しめる作品なのだろうと思う。


日本に住んでいると、英米文学のバックグラウンドとなるような映像や資料には、子どもの頃から触れる機会が数多くあるが、ロシアモノとなると極端に少ない。見たことのある風景やなじみのある街並みが舞台になっているのかいないのか、よく耳にする歴史上のできごとや人物に関わるのかどうか、ということは、その物語の世界に最初の一歩をスムーズに踏み入れるための大きな条件だと思う。


私は3年だけロシアに住み、博物館や名所旧跡でちらっとでも当時の衣料品や生活用品、建物を目にしたことがあったり、ロシアの街をいくつか見ていたりするので、それらが幾分、想像の助けとなったが、そうでない場合はさらに難しいだろう。


日本でロシアモノが人気を得るのって、難しいのかなっとも思わせられた作品だった。


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