えー、古いロックを聴く人たちはこんなトピックを一度は見たことがあるのではないか。それは、『ビートルズ対ストーンズ』というようなもの。また、『ビートルズ派かストーンズ派か』というようなもの。
僕はビートルズ派である。しかし、ストーンズも好きである。
どちらとも出会ったときのことは覚えていない。しかし、三歳のときには聴いていたように思える。その頃はまだ近くのショッピングセンターにCDショップがあった。僕は彼らのCDをよく買ってもらった。特に買ってもらったのはビートルズの方。この頃からビートルズ派だったのだ!と書きたいところではあるが、特別どちらが好きとかそういったものはなかった。
ビートルズをよく買ってもらったのには理由があった。ストーンズのCDは父が結構持っていたからである。だが、父の持っていないアルバムをたまに買ってもらうことがあった。また、父が持っていても自分のものにしたいと思ったアルバムを買ってもらうこともあった。それが『ビトゥイーン・ザ・バトンズ』であった。
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イギリス仕様の『ビトゥイーン・ザ・バトンズ』をよく聴いたのは、家にあったストーンズのアルバムが少なかったのもあると思う。父が持っているストーンズのアルバムたちは車にあったのである。
その点ビートルズのアルバムはよく買ってもらって家にあったのでさまざまなアルバムを繰り返し聴いた。聴いていたら母がビートルズのアルバムを買っていた。『アビー・ロード』と『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』だった。「どちらも有名なアルバムなんだってよ」というようなことを母は言っていた気がするのだが、当時の僕は前者に対しイマイチだなぁと思い、後者に対しても好きなんだけど他のアルバムと比べると、そんなに好きじゃないなぁという具合であった。
その、「他のアルバム」の最たるものが、なんと二〇〇〇年に発売されたグレイテスト・ヒッツ・アルバムの『1』であった。これは書こうか書くまいか迷った。だって今の僕は「ビートルズはやっぱりスタジオ・アルバムで聴かなきゃ。あっ、パスト・マスターズは良いけどね」みたいなことを考えたり、ときには言ったりしている奴だからである(なんかそういうのって嫌だなぁと思うのだけど、ついついそういうことを口にしてしまう)。
『1』は本当に良く聴いた。二七曲も収録されているアルバムで収録曲を曲順通りに全部言えるくらい聴いた。こんなに聴いたのはアルバムの中身以外にも理由があった。その理由はこのアルバムのブックレットにあった。
『1』のブックレットは収録曲全てのシングルのジャケットが掲載されていた。それを見るのが僕はとても好きであった。それを見るときにCDもかけるということが結構あったような気がする。おかげで収録曲を聴くと、掲載されたジャケットや、そのジャケットが掲載されたページの色を思い出すようになってしまった。『1』を聴かなくなった今でもそうである。
そんなアルバムを聴かないで良いのかと内なる者が僕に言うのだけど、「曲自体は他のアルバムで聴けるしなぁ」とか、「それならスタジオ・アルバムだとか、『パスト・マスターズ』で聴きたいなぁ」と思っている。でも、そういう原点みたいなものは大事だよなという思いもあるので、最近ブックレットだけ見た。めくってもめくっても、覚えているジャケットたち。少しだけホロリとした。
ビートルズ派なのにストーンズの方がしっかりと書いた気がする。そんな所が僕の中のストーンズ的な感じがする(後半に差し掛かるにつれてやる気がなくなってきたというのもあるが)。