今年は井伏鱒二没後30年ということで、当地福山文学館でも、「因島半歳記」の原稿の新展示などあり、また、私事では、福島に住む娘が帰ってきて、井伏鱒二の生家などをたどろうということで、井伏鱒二中心の忙しい毎日でした。加えて、神奈川近代文学館の展示です。

 

 県立高校から私立高校に移り、やっと組合などとのやりとりから解放され、七年。雑誌『解釈』一員として、平成十年度第三十回解釈学会全国大会がその年、八月二十五日神奈川近代文学館で行われた会に、私は、「古文入試問題としての正徹物語上・四十三について」と題して、若い大学院生などに混じって発表させてもらいました。その同じ会場で「井伏鱒二展」があるという、何という因縁かとばかり、娘夫婦の案内で長旅を行いました。

 

 展示はすばらしく、目新しく、私としては二日にも亘っての見学でしたので、楽しいことばかりでしたが、特に私が、山崎一穎先生の指導を受けた「中学生井伏満寿二の森鷗外宛書簡c」の実物には感動しました。そして、特に「大江健三郎の井伏宛手紙」に驚きました。何しろ、ケースの中に入っていて、こちらは老眼で、しっかり読めたわけではありませんが、ぜひまた間近で見たく思いました。

 

 二日間にわたっての長旅でしたが、老妻共々、喜んで帰りました。

 

 私事の報告になり、申し訳ございません。