去る6月4日の「中国新聞朝刊 備後版」に『鱒二没後30年郷土愛示す展示 因島舞台作の直筆原稿初公開』という見出しで大きな記事が出ました。

 

 この所、難病指定を受け、かかり付けの病院以外に出かけることがなかったので、このふくやま文学館の展示を知りませんでした。

 

 この記事にはいくつか興味あることが出ていたので、早速、コーヒータイムを使って、老妻に講義をいたしました。その内容を報告します。

 

 その一つは、直筆原稿の最初の一頁の写真と、その横に書かれた次の説明文でした。

  初公開の「因島半歳記」の直筆原稿。発表前はタイトルが「因ノ島市」だった。

 

 以前、私は、ふくやま文学館から出ていた井伏鱒二著『丹下氏邸』を使って、井伏鱒二の備後方言を調べたことがありました。早速箱の中からそれを取り出し、また、「井伏鱒二自選全集第一巻」を加えて、老妻に示しました。そして、大きな紙にA・B・Cと書いて説明に入りました。

 

 A 直筆原稿 「丹下氏邸」の場合、その表題は「老僕のゐる風景」とありました。

   冒頭は「丹下氏は男衆を責檻した。」です。

 B 33枚目から、初出雑誌「改造」がでていました。表題は「丹下氏邸」と変わっていました。

   冒頭は「丹下氏は男衆を折檻した」です。

 C 「井伏鱒二自選全集第一巻 67頁」の表題は「丹下氏邸」。

   冒頭は「丹下氏は男衆を折檻した」ですが、「折檻」に「ぎやうぎ」というルビがついていました。

 

 「井伏の場合、このような例があるから、私は「丹下氏邸」を調べたことがあるんですよ」といい調子で老妻にしゃべり、「じゃあ、この『因島半歳記』の場合どうなのだろうか、興味があるよね。」と言ったところで、豆腐屋さんが来たので中断、が、今度の「因島半歳記」の場合、私のまだ行っていない仕事だからこれからやってみようかとなりました。

 

 そして、次の報告ですが、長くなるのでまたということにします。