いつもの通りの、老妻とたった二人のコーヒータイム。

 

 前日、母校高等学校の同窓会から、会報が届きました。

 

 その中の「学年だより」に先輩がかいていたのですが、その文の最後の方に次のような文章がありました。

 

 ーここより引用ー

 室生犀星の詩に「ふるさとは遠くにありて思うもの…」とある。私にとって母校は『遠くにありて…」だった。

 ーここまで引用ー

 

 老妻にそれを見せて、「これちょっと変じゃない?」と私。

 「すこしも変ではないでしょう。私も『ふるさとは遠くにありて思うもの』と習いましたよ。」と老妻。

 

 すぐに、文学全集を取り出して、「どうですか、『ふるさとは遠きにありて思ふもの』とあることを確認しました。

 「では、『遠く』と『遠き』とどこが違うのだろうか。『文語体』と『口語体』の違いだろうかな」で話は終わりです。

 

 その夕方、テレビ「人生の楽園」を二人で見ていたら、ナレーターの西田敏行が「室生犀星が『ふるさとは遠きにありて思うもの』と歌っていますが」と言いました。それを聞いて、「やはり、『遠き』ですね」となりました。