1965(昭和40)年2月~1983(昭和58)年8月 月報99 

 1989(平成1) 年2月 「総索引」刊行 月報100 

 実に、25年近くかかって完成した「全集」です。この全集について、辛口をもって鳴った「お言葉ですが…」の故高島俊男さんは、長谷川如是閑の自伝をのっけた平凡社『日本人の自伝』について書いた文章で、次のように書きます。

 

 ーここから引用ー(『お言葉ですが…9ーこいすちょう流ー』より)

 この如是閑の自伝は、のち平凡社の「日本人の自伝」シリーズにはいった。

 このシリーズ(全二十五巻)は、もし良心的にやっていれば、筑摩書房の「明治文學全集」全百巻にも匹敵するほどの貴重な日本人の財産になったにちがいないのだが、本文はもとより引用文もすべて現代式に改める、新井白石の『折焚く柴の記』のようなものまで戦後かなづかいに改竄する、という無茶苦茶をやって、せっかくの良企画を台無しにしてしまったというシロモノなのだが(以下略)

 ーここまで引用ー

 

 この全集は現在セットで販売されていますが、私は一冊ずつ友人の書店から手に入れました。当然、その一冊一冊に付いてくる「月報」をどうしたかということについて、既にこのブログで書いているので繰り返しませんが、苦労しました。ただ、配本順に合本したということだけを書いておきます。

 

 というのは、この全集はある意味で文學全集を越え、もっと広い範囲の文章を集めているからです。一例を挙げましょう。森鷗外も、夏目漱石も「一巻」です。そして、次のような巻が「二巻」になっています。

 

 第1・2巻 明治開化期文学集  第5・6巻 明治政治小説集  第60・61巻 明治詩人集  第74・75巻 明治反自然派文学集  第77・78巻 明治史論集  第81・82巻 明治女流文学集  第83・84巻 明治社会主義文学集

第87・88巻 明治宗教文学集  第89・90巻 明治歴史文学集  第98・99巻 明治文学回顧録集

 

 もう一つ、最後の100巻に付いた付録を挙げておきます。このどれもが欠けてはならないものだと考えます。

 ① 月報 100 別巻附録

 ② 「明治文學全集」全百巻一覧 下に配本順

 ③ 『明治文學全集』本文訂正表

 ④ 明治文學全集 第十二巻 訂正

 

 こんなすばらしい全集を、欠けることなくすべて届けてくれた友人の書店主にひそかに感謝しています。