この本の奥付より引用しておきます。

 二〇一六年二月二九日 第一刷発行

 二〇一六年一〇月一一日 第三刷発行

 現在、書店には、「第三刷」が並んでいます。

 

 一方、この本の出版元、「集英社インターナショナル」のネット上の「公式サイト」には、「立ち読み」欄が掲載されていました。そして、先週の木曜日まで、その「立ち読み欄」の内容は、「第一刷」のものでした。

 実は、この本、ひどい本で、その「序章」の誤りは、読むに堪えないほどでした。一例を挙げると、次のように。

 「明治四十一(一九〇八)年六月二十六日、午前二時十分を少し過ぎて臨時仮名遣調査委員会、第四回委員会が始まっていた。」

 まさか、「午前二時過ぎ」にこの会議が始まるわけがありません。ネットで「国会議事録」を検索すると、「午後二時」の誤りだとすぐ分かるわけです。

 そこで、「せめてネットの『立ち読み』だけでも、第三刷で訂正しているのだから、書き換えたらどうかと、第三刷発行後連絡し続けたのですが、そのまま、三年をへて、先週(二〇一九年一〇月一七日)朝、電話を入れたところ、夜、見事に「立ち読み欄」が、「第三刷」に変わっていました。

 

 たった一日で書き換えられるのならば、もっと早く書き換えておけばいいのにと内実の分からない私は憤慨しましたが、これで、「集英社インターナショナル」に対する抗議は決着しました。

 ただ、この「序章」はまだ、数カ所の大きな誤りを犯したままなので、「序章」全体をカットするか、「絶『版』」にするかご検討くださいと担当者には付け加えておきましたが。

 

 この本の「はじめに」に「本書では、読みやすさを優先するために、仮名遣いを現行の仮名遣いに直してある」とあります。

 そして、第一刷147頁徳富蘇峰の漢詩ですが、「都門を出ず」と出てきます。原詩も上にあるので、注意深く読めば、誤ることはなさそうですが、ざっと読んだ限り、「出た」のか「出ない」のかわかりません。その点を注意したところ、第三刷で「都門を出(い)ず」と「ルビ」を打ちました。

 

 さて、そこで、この日曜日の毎日新聞一面「近藤流健康川柳」ー「やる気出ず『よっしゃ化粧!』と立ち上がる」の「出ず」は「出た」のか「出ない」のかという問題になるのですが、この答えはどうも、「出(で)ず」が正しいようです。

 

 以上、長くなりましたが、「版」と「刷」というテーマで書きました。