この全集全九十七巻を配本し終わったのは、1958年9月5日でした。そして、別巻二巻が加えられました。

 98回配本 現代日本文学年表 別巻 2 1958年9月25日

 99回配本 現代日本文学史   別巻 1 1959年4月30日

 

 その後のことは、『筑摩総目録』が次のように伝えます。

 

 ーここから引用ー

 完結後、1967年11月に「定本限定版 全100巻 現代日本文学全集」をセット(定価80,000円)で刊行した。月報合本(944頁)を1巻として加え、巻数を時代順に並べ変えたので上記の巻数との間にずれがある。各巻表題の後のカッコ内の数字はこのセット版の巻数である。(以下略)

 ーここまで引用ー

 

 例えば、「夏目漱石集」はこう表記されています。

 第11巻 夏目漱石集 (24) 倫敦塔 坊っちゃん 夢十夜 それから こころ 他

 第64巻 夏目漱石集 (二) (25) 吾輩は猫である 明暗 硝子戸の中 他

 第65巻 夏目漱石集 (三) (26) 草枕 三四郎 門 他

 

 これまで書いてきたように、刊行途中で、全巻数が変わり、収録数が変わったために、完成したものは、同じ作者の複数巻がまったく異なった数になったので、それを整序したというわけです。そして、それぞれに付いていた「月報」を一巻にまとめて、全100巻にしました。

 

 この作業はやはり、大変なことで、『筑摩総目録』は完結八年後と書いていますが、もう一つの基本資料田坂憲二『日本文学全集の時代』は、こう書いています。

 

 ーここから引用ー(18頁より)

 なお、『筑摩目録』では、一九六七年一一月刊行の『定本限定版 現代日本文学全集』から巻序を改めたように読めるが、六一年刊行の『愛蔵版』で既に、増巻分を含めて時代順に並べた巻序に改められている。(以下略)

 ーここまで引用ー

 

 この説明は正しいが、この同じ『日本文学全集の時代』の数頁前には、『現代日本文学全集』(愛蔵版)(一九六〇年)と刊行年次が一年異なって書かれています。この杜撰さは許せないのですが。

 

 やむを得ず、この『愛蔵版』をネットで探し、やっと正しい年次が分かりました。

 

 『愛蔵版』

 刊行日時  1961年11月3日

 巻数     100巻(「月報合本」が加わっている)

 値段     47,000円

 

 「京都大学吉田南総合図書館」で調べてもらいました。(全国でも三大学図書館しか保有していないということで驚いたことを付け加えておきます。そして、協力して頂いた図書館関係者に深く感謝いたします。)

 

 やっと、『現代日本文學全集』全100巻の完成した形にたどりつきました。

 

 実は、筑摩書房は1958年10月15日から、また新しく『新選現代日本文学全集』を刊行します。その第一回の配本は「川端康成集」です。この全集が、1973年4月、ここまでに書いてきた『現代日本文学全集』と一緒になって、『増補決定版現代日本文学全集』(全143巻)という日本一大きな「文学全集」になるのですが、その成立経緯はまたまた「ミステリー」ですので、いつか書き続けるつもりです、が、一応ここで終わりとします。

 

 「ほんに、もう、えれえわ」(広島県東部の備後方言で、「本当にもう疲れた」という意味です)