6月11日(月)、飯坂温泉から、福島駅へ送ってもらって、快速電車を利用。仙台駅にたどり着きました。

 

 途中、白石、大河原、岩沼と懐かしいところを満喫。

 

 仙台駅から、雨の中を瑞鳳寺を目指して歩き出しました。ところが、市電がなくなって、方向が分からず、とんでもない所へ。「メトロに乗れ」などという、訊ねた相手の指示にあきれながら、やっと大学の見慣れた北門に着きました。

 

 ここからは、通い慣れた道。雨でしたが、帰りにはもう一度通って、あの「古書店」に寄ってみようなどと考えながら、瑞鳳寺で懐かしい和尚と会い、一応目的は達成。

 

 その帰途、たった一軒だけ残っていた古書店に寄りました。

 

 私が学生の時は、数軒あったのに、今ではこの店のみ。勿論、主人は交代。息子さんでした。

 

 歩きながら、何を聞こうかと考えての第一の質問。

 

 「山田俊雄さんの本は何かありますか?」

 

 「いえ、ございません。」すぐに答えが返って来ました。

 

 まったくの拍子抜け。山田俊雄さんは、仙台市の木町通小学校から仙台二中、そして、第二高等学校、東京帝国大学を卒業した、もっとも優れた国語学者、私が勝手にそう思っている人ですが、その人の本が一冊もないなんて考えられませんでした。

 

 あわてて、「60年前は、この前の道も舗装されておらず、雪の後など大変でしたよね」などといい加減なことを言いながら、そのあたりに平積みされていた山口明穂の本を一冊だけ買って、とぼとぼ、雨の中をまた仙台駅に帰りました。

 

 その後仙石線で松島へ。

 

 そして、その翌日、無事我が家に帰り着きました。

 

 「古書店に思いを残し 梅雨の空」 

 

 老妻の判定、「まったくの『才能なし』」でした。