「図書」一月号を寄贈されたことは昨日も書きましたが、その「特集『広辞苑』第七版」の目次を見て驚きました。

 

 「累計一億部」が一堂に会した歴史的瞬間   佐々木健一

 

 えっ!臆面もなくよくも書けるものだというのが、筆者佐々木健一に対する率直な感想でした。

 

 彼が、その著、文藝春秋社版『辞書になった男』で、いかに見坊豪紀と山田忠雄のイメージを「捏造」したか、すでにこれまでこのブログで書いているので繰り返しませんが、一つの事実だけを再度伝えておきます。

 

 ーここから引用ー(「辞書になった男」276頁より)

 ケンボー先生は、「んんん」の用例を実際に見つけようと一〇年以上も探し続けた。そして、確かに証拠を押さえていた。

 この日、見坊カードの山から【んんん】を飯間さんが探してみると、次から次と出てきた。

 漫画、小説、雑誌など、掲載媒体も多岐にわたっていた。

 確実な証拠を押さえて、『三国』第三版から辞書の末尾に【んんん】を加えた。

   これで、英語の辞書のおしまいの項目「Z Z Z」とつりあいが取れることになりました。

                                                          (見坊豪紀著『ことば さまざまな出会い』) 

 以後、【んんん】は、必ず『三国』に載る最後のことばとして、現在まで引き継がれている。

 ーここまで引用ー

 

 この本ー『辞書になった男』の発行日は、2014年2月10日です。そして、著者佐々木健一の「あとがき」の日付は、2013年9月25日となっています。

 

 実は、この【んんん】は、『三省堂国語辞典』第七版(2014年1月10日発行)では既に立項されていませんでした。

 そこで、私は、「以後、【んんん】は、必ず『三国』に載る最後のことばとして、現在まで引き継がれている。」は筆者自身、立項されていないことを知っての、誤りではないかとメールで問い合わせました。

 

 筆者は、「2013年9月25日段階ではまだ『立項されない』ということがわかっていなかったのだ」という答えのメールを送って来ました。

 

 私も了承して、話は一応終るのですが、この本の大切なのは次の点です。

 

 ① 他の内容上の質問を手紙で送りましたが、まったく返事はありませんでした。 

 

 ② 「以後、【んんん】は、必ず『三国』に載る最後のことばとして、現在まで引き継がれている。」とあるのは誤りです。

 

 そして、もっとも大切な点、こうしたやりとりなどを無視して、2016年8月10日の日付で、文藝春秋社はこの本の「文庫版」を発行いたしました。

 

 筆者佐々木健一は「文庫版あとがき」を2016年4月24日の日付で書いていますが、これら諸点についてまったく弁解・訂正せず、知らない振りをしてるように私には見えます。

 

 「こんな男に「辞書」を論ずることは出来ません。加えて、彼を含めたメディアのあり方に強い憤りを感じています。」