孫の初ボーナスで、「広辞苑」第七版を購入したことを先日報告しました。その後、連日、この辞書を引いて楽しんでいましたが、疑問のこともあり、その本についていた「読書カード」を送りました。数日後「図書」を送ってもらい、感激。早速一年分の予約をし、本日「図書」三月号を手にしました。

 

 そして、「『特集』広辞苑第七版」ー「自由な思考のために」出口治明ーを読んで、共感した次第でしたが、その一部に不審をいだきました。

 以下、その部分を引用いたします。

 

 ーここから引用ー(岩波書店「図書」三月号7頁より)

 (前略)

 このように考えてくると、子どもに国語を教えることがいかに大事か、ということに思い至ります。人間は、マザータング――最初に覚えた言葉――で自分の思考を紡いでいきます。ですから、初等教育では、国語教育が何よりも大事だということが、より深く腹落ちするような気がします。

 (以下略)

 ーここまで引用ー

 

 この文中、「マザータング」は立項されていません。多少気にはなりますが、ちゃんと「最初に覚えた言葉」と説明があるのでそれで十分と思ったわけですが、そのあとの「より深く腹落ちするような」に引っかかりました。

 

 『広辞苑』第七版編集部に電話で問い合わせたところ、「腹落ち」また「腹落ちする」という単語は立項されていないそうです。しかも応対者の「基本的に作者の用語に従うことにしています」という説明に驚きました。作者が勝手に書いた文章はいくらでもあるでしょう。それを校閲するのが、出版社の担当ではないのかという疑問でした。

 

 「『特集』広辞苑第七版」に書かれた文章中、特別な語ではなく存在する日本語が、実は、その辞書に存在しないという奇妙な現象。

 

 「腹に落ちる」  納得する。合点がいく。腑に落ちる。

 

 「腹に落ちる」はちゃんと立項されています。では、それをなぜ、筆者に要求しないのかでしょうか。

 

 「岩波書店よ、お前もか!」と書いたら、また、数多く文句がくることでしょうが、以上書いた私に誤りがあればぜひコメント等で指摘して下さい。