ブログ仲間の素人学者さんに教えられて、三省堂版『現代新国語辞典』五版の裏帯を見ていて、気がつきました。

 「本辞典だけが収録する教科書用語や語義」の中の「句切れ」という語です。本文にはこう立項していました。

 くぎれ【句切れ】 [短歌で]一首の中の内容的な切れ目。[たとえば、「五・七・五」と「七・七」の間に切れ目があれば、「三句切れ」という]

 この「句切れ」という言葉は、高校の古文の授業、あるいは、大学入試古文問題では常識的な言葉です。

 一例をあげます。

 尋ねばやほのかに三輪の市に出でて命に替ふるしるしありやと   隆信朝臣

[設問]上記の歌の句切れについて、次の中から正しいものを一つ選べ。

  ① 初句切れ   ② 二句切れ   ③ 三句切れ   ④ 四句切れ   ⑤ 句切れなし

(1999年度清泉女子大)

 正解は①ですが、このように「句切れ」という語は、問題なく使って、出題されます。

 ところで、では、この「句切れ」という言葉は、他辞書にないかと探すと、見つかりました。同じ三省堂版『例解新国語辞典』八版です。

 くぎれ【句切れ】 短歌・俳句の意味上の切れ目の部分。切れる位置によって、短歌では初句切れ・二句切れ・三句切れ・四句切れ・句切れなしがあり、俳句では、初句切れ・二句切れ・中切れ(中間切れ)・句切れなしがある。

 まったく、ものを知らないのは困ったもので、俳句にも「句切れ」があり、「句割れ」もあると前に教えられてはいたのですが、、中切れ(中間切れ)と呼ぶとは知りませんでした。、中七字を句切るのでしょうが、二字と五字・五字と二字、あるいは、三字と四字、四字と三字、いずれでもかまわないのかどうか、また、誰かに教わりたくなりました。

 と、あれやこれや思っていたところ、先日十二月二十五日(木)の朝刊、「歌会始入選決まる」の記事。

 ○ 独学で                 ○ 五歳より        
     日常の情景詠む               祖母に習い親しむ
         本は生涯の友                 好きな物語歌に

 「この二つの入選歌、いったい何句切れの歌?」と悩んでしまいました。年は取りたくないものです。

 いずれにしても、今日は、平成二六(二〇一四)年の年の暮れ、ある意味での「句切れ」かなと、多少の感懐に浸っています。

 今年一年、おつきあい有り難うございました。新しい年が、皆様にとっていい年でありますようにと願ってこのブログの納めといたします。