私は、「辞書」について、極めて単純に、次のように考えています。

❶ 現実の言語活動
 日本人なら、日本語を使って日常生活している、その日本語(オブジェクト言語と呼ぶのでしょうか)

❷ 用例
 その言語活動の中から、辞書編纂者(レクシコグラファー)は、語を選択して、カードを作ります。これを「用例カード」と呼びます。

❸ 索引
 ❷までに収集されたカードを、選択、決められた方法(辞書順など)によって並べ替えて、記録します。

 このうち、❷が当然その辞書の「命」でありますが、昨日書いた、❷から❸への作業は、電子機器の進歩により、飛躍的に楽になりました。

 だから、昨日、「索引」のない「日本語の本」は読まないなどと、広言したのですが、今日はその❷から❸へ、私が作業した例を書き留めておきます。

 使った「本=用例」は、新潮文庫『ことばの歳時記』金田一春彦 昭和48年版です。

 この本は「あとがき」によれば、昭和四十年一月から十二月まで、一年間「東京新聞」と「中部日本新聞」の夕刊に「ことば歳時記」と題して書き続けられたものです。すなわち、毎日一題、テーマを決めて、一年間書き続けたものです。年間三百六十六日+月の名(十二)で、三百七十八の小文(約五百字)が、各一頁に配置され、目次に「一月一日 季節のことば 二〇頁」という風に記してありました。

 私は、この「目次」から、望む言葉を探し出すのに苦労し、「索引」を作ることを思い立ちました。

 私は、既に「桐」というデータベースを使った経験があるので、そのソフト「桐ーVer5」で入力することにしました。

 ⑴ 「主になる言葉」
 ⑵ 「日付」
 ⑶ 「頁」
 ⑷ 「メモ」

 たったこれだけの項目名で、勝手に思いつくところから入力を始めました。

 出来上がってみると、これは便利。⑴「主になる言葉」を辞書順に整列させると「小辞典」になるし、また、「語検索」を使うと、「メモ」欄に入力した人名なども簡単に出すことがてきます。

 そこで、一例を示します。

 ⑴ 「白寿(はくじゅ)」
 ⑵ 「一二月二六日」
 ⑶ 407頁
 ⑷ 「九十九歳、見坊豪紀・卒寿(九十歳)」

 ここまでが、私が使っている、『ことばの歳時記』のデータベースです。この面白い日本語の本に、「索引」がありませんでした。思いあまってこんな遊びをいたしたところ、随分役に立つということを発見しました。

 ここからは別の話です。

 「あとからひとこと」でしょうか。「別記」でしょうか。「発展」でしょうか。

 「卒寿」が「九十歳」の「祝い」だということは、どの辞書にも立項されているのですが、今のところ、その「用例」にお目にかかっていません。

 『日本国語大辞典』第二版も、『広辞苑』第六版も、『大辞泉』第二版も、語釈のみです。『大辞林』第三版は見ていないのですが、どこかに確かな用例が載っているのでしょうか。

 もし、古い用例が見つかれば、また、『ことばの歳時記』のデータとして「メモ」欄に入力することができるのですが。

 どなたか、教えて欲しいと思っています。簡単にコメントで、よろしく。