今朝(2月5日)、毎日新聞朝刊の12面に、表題の言葉を見出しとして一文章が掲載されました。副題は「受験産業による『公開』は異常」というものでした。
この論のポイントは二つです。
一つは、試験終了直後に、受験産業が、「正解」・「解説」などを公表し、それが、入試当事者である大学側の採点に影響を与えていて、それを異常な事態であるとしている点です。
「大学の一般入試の厳格で公正な実施に受験産業が寄与している一例であろう。しかし、我々が慣れ親しんでいるこの光景は、少し反省してみれば、むしろ異常な事態であると言わなければならないであろう。」(四段目)
私は、こんなことが常態的にあるということをこれまで知りませんでした。受験産業に影響されない、もっとある意味で確固(頑固かな)たる正解・採点基準を大学側はもっていると思っていました。こんなに、受験産業の顔を見ながら採点を行っているのでは、私などがアレコレ言う必要はありません。これは、何かの間違いではないかと思わず、ほほをつねる気持ちでした。
もう一点は、大学側が正解・配点を公表しない理由の説明です。
「各大学が一般入試の正解と配点を公表しない積極的理由は何であろうか。私見によれば、最大の理由は、他大学がこれまで正解と配点を公表していないので、自分の大学も公表する必要はないという消極的理由であると思われる。すなわち、過去からの惰性と集団的怠慢の累積的結果ではないであろうか」(五段目)
甘い、甘い、とてもそんな理由ではありません。奇問・珍問・悪問、そして、私大の偏差値の高いところでは、「無理題」こそ「難題」と考え、それによって振り分けようとしているのです。だから、正解を公表すれば、高校教師や、受験産業から総攻撃をくらう恐れがあって、公表をしていないのです。特に言葉に関する教科(国語・英語など)ではそれが著しいのです。
しかし、この論者の結論は、大歓迎。大学入試においては、「正解・配点を公表すること」、これこそ、その透明性と公平性を保証するものであると何度も新聞に投稿、文科省の大学振興課、大学入試室に申し入れました。しかし、いまだ、ほとんど実行されず、この時期、こういった寄稿が大新聞に特別に載るわけです。
根拠は別にして、「大学入試 正解・配点示せ」はタイムリーであり、是非、今年の入試から実行して欲しいと願っています。
それにしても、私の経験では、「正解を教えてください」と申し入れた回数は「早稲田大学」がもっとも多く、そのいずれも学部長名で、「もし、採点変更することがあれば、『ネット』で公表します」という同じ文章を何度ももらいました。そして、「ネット」のどこに公表されるのかわからず、入試総務課に訊ねると、「それは答えられません。どうぞ探してください」という答えが常でした。
早稲田大学は、この飯島昇蔵(早稲田大学教授・図書館長)の真っ当であり、勇気ある発言をどう受け止めるか、今年の入試がどう行われるかぜひ注目したいと思っています。まず「隗より始めよ」です。このブログを読んで下さった方、期待いたしましょう。早稲田大の入試はもうすぐ始まります。