毎年、最初の授業では、「えと」の話をします。そのために干支表のプリントも用意します。


 今年は、高一の授業でした。


 「今年の『えと』は何。」


 「辰。」(全員)


 「『えと』というのはね、十干・十二支のことを言うんだよ。」といって、十二支だけではない話をし、改めて、「今年の『えと』は?」の答えとして、「壬辰(みずのえたつ)」にたどりつきました。


 「じゃあ、君たちの『えと』は何?」、「何歳かな、その数を表から遡ると『えと』がわかるよ」


 「先生、ぼくは『乙亥(きのとい)』です。」


 「えっ、ほんと!『きのとい』か。どれだけいるの、手を上げて。ほんとんどだよね、へえっ!」


 絶句しました。「それは僕の『えと』と同じだよ。」


 生徒はほとんど反応がありませんでしたが、私は心の底で呆れ、驚き、今五まわり隔たった生徒を教えているのだという実感に打たれました。


 話はこれだけです。帰って老妻に話すと、「もう授業を今年で終わりにしたら。いい思い出じゃあないの」という答えが返ってきました。


 そう、めったなことで、自分の「えと」と同じ「えと」の生徒を教えることはできないでしょうね。どう言ったらいいかな、恥づかしい、うれしいなど、複雑でした。


 成人の日に母校の新年互礼会があり、出席するため出かけましたが、少し時間があったので、町の中央図書館に入りました。


 これまで何度もお世話になり、「工具書の倉庫」に使ってきたのですが、この日は目的もなく入ったので、二階の部屋をぶらぶら、そして、小学校の教科書の展示場を見つけました。


 2009年11月、孫の参観授業に参加して、「3分の1の牛乳ーそれはつくれますか」というブログを書きました。


 その結びは「そこで、T社の来年以降の算数の教科書は変わるでしょうか、変わらないでしょうか。」でした。


 「牛にゅうが、びんに2分の1L、パックに3分の1L入っています。あわせて何Lありますか」という問題文でした。


 展示された教科書には、「牛にゅうが小さいパックに5分の1L、大きいパックに2分の1L入っています。あわせて何Lになりますか。」とありました。


 「3分の1L」が「5分の1L」に変わっていたのです。たしかに、出版社に手紙を書いた覚えはありますが、もうはるか昔のことです。まったく忘れていました。


 年初から、勝手にいい気持ちになりました。