昨日の答えは、句点と読点を筆者のI教授が間違えて書いたからでした。句点を読点に、読点を句点に読めば、意味が通ります。これは『文法』という雑誌の話で、その次の号の「日本語不審派4」の最後に「おわび 先号『句読点』の本文中の句点と読点は『句』と『読』の文字が入れ違っていました。おわびし、訂正いたします。」とありました。こんな文章を平気で載せている雑誌に未来はありません。その後半年ほどで、この雑誌は休刊となりました。


 知らないことはいっぱいあります。昨日の「毎日新聞」の朝刊の「週刊漢字」の欄に、「丶」の読みが出題されました。私はできませんでした。答えは「ちゅ」。また、「樹をうたう」欄の見出し、「木天蓼」も読める人は少ないでしょう。答えは「またたび」です。漢検ブームのようです。わからない漢字がテレビに氾濫しています。しかし、これらは、辞書を引けばわかります。老妻は「世界で一番難しいクロスワードパズル」を毎月解いています。最近では約二時間で完成します。傍らに『広辞苑』と『逆引き広辞苑』を置いて。ネットを使えばもっと簡単だそうです。


 わからないことはいっぱいあります。しかし、この情報社会において、情報機器を駆使すれば、それほどわからないことがあるとも思えません。


 本当にわからないこととは何でしょうか。


 『週刊現代』の6・11号、「今週の遺言」 大橋巨泉の見出しは「NHKワールドの謎? 何故外国で日本語でなく英語で放送してしているのか」です。終わりの部分だけここに書きます。


 「他のすべての外国語放送が、その国に住んでいる、あるいはその国に旅行中の自国民のために放送している。それ以外のテレビ放送は“無い”と断言して良い。たとえばイタリアの国営放送が、「南欧を理解してもらうために」、“英語で放送している”などという事は、絶対にあり得ないし、ボク自身見たことも聞いた事もない。NHKの方にうかがいたい。「NHKWORLD」とは何なのですか? 日本語放送もない遠い外国で、“アジアのために”英語で放送をする理由はどこにあるのか。是非答えていただきたい。」


 「本当にわからないこと」とは、こんなことでしょう。NHKは答えなければなりません。

 「日本語が亡びるときー英語の世紀の中で」(水村美苗)などという本が現れる時勢、多少とも日本語に関わる一人として、大橋巨泉さんにエールを送ると同時に、NHKの答えを待っています。