つい先日、七月末、この秋に行う、高校の同級生の「喜寿を祝う会」の世話人会がありました。二十三人が集まりました。

 始まる前の雑談で、「この頃新聞では訃報欄にまず目がゆくよね」という話題がありました。

 会は最初に名簿に基づいた物故者の確認から始まりましたが、「その人は今こうしている」「彼はつい最近なくなったよ」などと、司会者の指示によって、確認してゆきました。

 驚いたことに、亡くなっているのは、ほとんど男子だということで、平均寿命の違いだなとみんな感心しましたが、それよりも、世話人二十数人集まると、同級生二百八十人のほとんど全部の消息がわかるという事実でした。

 さすがわが母校はすばらしいとお互いに感心しあって帰ってすぐ、百歳以上の高齢者の消息不明のニュースが伝えられました。また二幼児放置事件も。


 早速友人から電話がありました。「人と人のつながりの薄れた日本はもう駄目だよ。われわれはいい時に生きてきたな。」と。


 私は母を五歳の時なくしました。隣のおばちゃんが可愛がってくれたそうです。しかし、おばちゃんの顔ははっきり覚えていません。ただ、そのおばちゃんの下駄の上に足をのっけて、おばちゃんと一緒に歩いた、その時の、おばちゃんの足のぬくもりだけを覚えています。


 あの頃は、いい時代だったなと今思い出しています。